セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
161:無治療で約2年間生存し得た高齢者膵癌患者の1例
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演者 |
植田 圭二郎(九州がんセンター 肝胆膵内科) |
共同演者 |
古川 正幸(九州がんセンター 肝胆膵内科), 奥村 幸彦(九州がんセンター 肝胆膵内科), 杉本 理恵(九州がんセンター 肝胆膵内科), 船越 顕博(九州がんセンター 肝胆膵内科) |
抄録 |
症例は89歳女性、主訴は腰痛であった。慢性C型肝炎、甲状腺機能亢進症、高血圧にて近医通院中であった。2008年7月の血液検査にてAMY 611mg/dl、エラスターゼ 1300ng/dlと膵酵素上昇を認めたため、精査加療目的にて当科紹介となり入院となった。入院時、身体所見は軽度の腰痛を認めるのみであった。血液検査ではAMY 1084mg/dl、エラスターゼ 5170ng/dlと膵酵素上昇を認めた。腫瘍マーカーはCEA 4.1ng/ml、CA19-9 10IU/ml、DUPAN-2 <25UA/ml、Span-1 9.8U/mlと上昇は認めなかった。画像所見では腹部造影CTにて膵体部に径15mm大の遅延性に増強される腫瘤を認めた。主膵管はびまん性に拡張しているが、腫瘤より尾側にて主膵管拡張が目立つ。明らかな遠隔転移は認めなかった。ERCPはカニュレーション困難であり評価できなかった。PET-CTでは膵体部腫瘤に明らかな異常集積は認めなかった。画像からは膵体部癌を疑ったが確定診断は得られなかった。病期としては早期であり手術適応もあったが、高齢であること、本人の希望もあり手術は行わないこととなり、また化学療法も本人拒否されたため、無治療で経過観察することとなった。その後、腹部CTにて膵体部腫瘤は増大傾向示したが、積極的治療は希望されず経過観察を継続した。特に著変なく在宅にて過ごされていたが2010年3月頃より心窩部痛、背部痛が出現し、7月頃より腹水出現し徐々に全身状態増悪、PS低下したため、2010年7月末に当科入院となった。腹水細胞診にてClassV poorly differentiated carcinomaと診断された。2010年8月に死亡した。今回、我々は無治療にて約2年間生存し得た高齢者膵体部癌の1例を経験した。当院での無治療膵癌患者の50%生存期間は6ヶ月以内であり、1年生存率も10%以内である。高齢者である場合はPSや社会的背景を考慮すると治療方針決定に難渋することがある。当院における高齢者膵癌患者症例の統計と文献的考察を併せ報告する。 |
索引用語 |
膵癌, 高齢者 |