セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研54:

化学療法単独で長期生存中の膵頭部癌の1例

演者 大宮 俊啓(福岡大学筑紫病院消化器科)
共同演者 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院消化器科), 大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院消化器科), 馬場 崇徳(福岡大学筑紫病院消化器科), 川本 研一郎(福岡大学筑紫病院消化器科), 野間 栄次郎(福岡大学筑紫病院消化器科), 光安 智子(福岡大学筑紫病院消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器科)
抄録 症例は82歳女性。2006年8月近医で膵管拡張と高アミラーゼ血症を指摘され、当科紹介となった。US上、膵頭部に径24×23mmの低エコー腫瘤があり、尾側膵管は4mmと拡張していた。DynamicCTでは膵頭部にhypovascularな腫瘤を認め、門脈に高度の浸潤を伴っていた。ERCPでは膵管に高度の狭窄を認め、狭窄部より尾側の主・副膵管は拡張していた。EUSでは膵頭部に径34×26mmの表面凹凸不整ののある低エコー腫瘤を認め、内部にcystic lesionがあり、門脈に浸潤していた。造影超音波検査で腫瘤内に樹枝状血管があり、ほぼ全体が染影された。経皮的膵腫瘤生検ではAdenocarcinomaであった。以上より膵癌Stage〈4a〉と診断し、化学療法(Gemzar+UFT)を開始した。その後UFTを中止し、現在減量したGemzarを2投1休で投与している。診断から4年経過したが腫瘍は縮小し、PRを維持している。現在も造影超音波検査では治療前と同様に腫瘍全体が濃染されている。腫瘍に対するGemzarの感受性試験は未施行であるが、drug delivaryの観点から腫瘍内血流が豊富であることが長期生存の一因と考えた。化学療法単独で長期生存中の膵頭部癌の1例を文献的考察を含めて報告する。
索引用語 膵癌, 化学療法