セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 172:FDG-PETで指摘し得た下部胆管狭窄を伴った自己免疫性膵炎の1例 |
演者 | 田上 聖徳(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科) |
共同演者 | 新地 洋之(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科), 前村 公成(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科), 又木 雄弘(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科), 大久保 啓史(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科), 上野 真一(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科), 迫田 雅彦(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科), 蔵原 弘(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科), 高尾 尊身(鹿児島大学フロンティアサイエンス研究推進センター), 夏越 祥次(鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科) |
抄録 | 症例は74歳男性。検診目的で近医を受診し、血液検査でT-Bil 2.5、AST 290、ALT 290、γ-GTP 990、ALP 1532と肝機能異常を指摘された。腹部エコーで、肝内胆管、総胆管の拡張を指摘され、閉塞性黄疸が疑われた。CTでは、下部胆管は途絶し描出は不明瞭であったが、ERCPで下部胆管に約2cmの欠損像を認め、下部胆管癌の診断で当科紹介となった。FDG-PET施行後当科入院。PET所見では、膵はびまん性に腫大し、全体に異常集積を認めた。総胆管下部には異常集積は認めなかった。膵、肝、リンパ節、血管、心膜に異常集積を認め、IgG4関連疾患を疑う所見であった。入院時血液検査でIgG4は766と上昇認めた。腫瘍マーカーはいずれも正常範囲内であった。入院後CT、MRIでは、胆道系は壁肥厚傾向であったが、炎症性の所見と考えられた。膵はびまん性に腫大し、B3に肝内結石を認めた。EUS、ERCPにて、下部胆管の狭窄は認めたが、同部位に限局した腫瘤影は指摘されなかった。IDUSでは下部胆管不整像を認めたが、下部胆管生検、細胞診で、いずれも悪性の所見は認めなかった。画像所見で膵に特徴的な主膵管狭細像と膵腫大を認め、血液検査で高IgG血症を認めており、自己免疫性膵炎臨床診断基準2006に合致。自己免疫性膵炎と診断した。ステロイド治療としてプレドニゾロンを40mg/日で開始した。内服開始後2週間後のCTで、肝内胆管拡張は改善しており、膵腫大や周囲の浮腫状変化も改善していた。近医で内服加療を継続予定である。自己免疫性膵炎は、血中IgG4高値、IgG4陽性形質細胞浸潤、多彩な膵外病変などの特徴ある病態を示し、IgG4関連疾患と呼ばれている。今回、下部胆管狭窄の精査でFDG-PET施行し、IgG4関連疾患が疑われた。限局性の胆管狭窄と膵腫大を認めた場合は、自己免疫性膵炎に合併する硬化性胆管炎も念頭に置く必要がある。 |
索引用語 | 自己免疫性膵炎, IgG4関連疾患 |