セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専18:腹腔鏡下に切除し得た出血性十二指腸憩室の1例 |
演者 | 大地 貴史(久留米大学) |
共同演者 | 山口 圭三(久留米大学), 内田 信治(久留米大学), 村上 直孝(久留米大学), 笹冨 輝男(久留米大学), 竹内 正昭(久留米大学), 緒方 裕(久留米大学), 白水 和雄(久留米大学外科) |
抄録 | 十二指腸憩室は消化管憩室のなかでは最も多く、その頻度は多いものの、臨床上問題をきたすことはまれであり、出血に関しては0.06%との報告もある。今回われわれは十二指腸憩室からの出血に対し、腹腔鏡下に切除し得た1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は58歳、女性。大量下血を主訴に近医を受診。十二指腸憩室からの出血、及び貧血と診断され当院外科紹介となる。前医、及び当院での検査では十二指腸水平部に憩室を認め、入口部に糜爛を認めた。内腔の血管透見は良好。一部に瘢痕像を認め、絨毛構造は認めなかった。憩室内部に凝血槐を認めた。出血の原因と考えられ、十二指腸憩室を腹腔鏡下に切除した。術後経過は良好で3日目に傾向摂取開始、術後12日目に退院した。術後30日目の低緊張十二指腸造影においても憩室の遺残はなかった。現在下血、貧血進行を認めず無症状で経過している。十二指腸憩室は一般的に無症状で経過するものが多く、外科治療の対象となるのは、治療抵抗性の出血、穿孔、膵・胆道系への障害が内科的治療にもかかわらず再発をきたす場合などであり、頻度は1~5%と非常に低いとされている。 出血の原因としては、本邦では糜爛、潰瘍、憩室炎、憩室内露出血管、憩室内異物が原因として報告されている。本症例では糜爛と推定された。術式は憩室の性状、存在部位により適宜選択されるが、憩室切除術や憩室内飜埋没術が選択されることが多いようである。本症例は腹腔鏡下に憩室切除を行い、比較的安全に、低侵襲な手術が行えた。十二指腸憩室からの出血に対し、手術的に治療したまれな1例を経験したため、文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 十二指腸憩室, 出血 |