セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専02:

食道胃接合部癌リンパ節転移との鑑別が困難であった縦隔リンパ節結核の1例

演者 中川原 英和(済生会福岡総合病院外科)
共同演者 定永 倫明(済生会福岡総合病院外科), 上尾 裕紀(済生会福岡総合病院外科), 笠木 勇太(済生会福岡総合病院外科), 坪川 典史(済生会福岡総合病院外科), 日高 元(済生会福岡総合病院外科), 島松 晋一郎(済生会福岡総合病院外科), 萱島 寛人(済生会福岡総合病院外科), 石田 真弓(済生会福岡総合病院外科), 星野 祐二(済生会福岡総合病院外科), 池上 徹(済生会福岡総合病院外科), 山崎 宏司(済生会福岡総合病院外科), 江見 泰徳(済生会福岡総合病院外科), 伊東 啓行(済生会福岡総合病院外科), 松浦 弘(済生会福岡総合病院外科), 青木 良祐(済生会福岡総合病院外科), 中島 明彦(済生会福岡総合病院外科), 長崎 洋司(済生会福岡総合病院外科), 岡留 健一郎(済生会福岡総合病院外科)
抄録 【始めに】縦隔リンパ節結核は成人ではまれであり、その多くは肺野病変を伴っている。しかし、まれに肺の活動性病変を伴わず、病変が縦隔に限局する症例も見受けられる。今回、我々は術前に食道胃接合部癌リンパ節転移との鑑別が困難であった縦隔リンパ節結核の1例を経験したので報告する。【症例】症例は48歳の男性。2010年5月嚥下困難、胃部不快感が出現し、上部消化管内視鏡検査にて食道胃接合部に2型腫瘍認め、生検にて高分化腺癌と診断された。体幹部造影CTにて左気管気管支リンパ節腫大を認め、PET検査にて集積(SUVmax7.55)みられたことから、縦隔リンパ節転移を伴う食道胃接合部腺癌(cT2N1M1(LYN);cStageIV)と診断し化学療法(TS-1/ドセタキセル)施行した。有害事象として高度な下痢(Grade3)を認め入院加療となり、さらにCTにて縦隔気腫認め、食道穿孔疑われたため、化学療法継続は困難と考えられた。遠隔転移を認めないことから縦隔リンパ節郭清を伴う食道亜全摘・胃管による後縦隔経路再建術を施行し、術後特に合併症無く経過した。病理組織検査にて摘出した縦隔リンパ節には癌細胞転移はなく乾酪性肉芽腫が認められた。また、クオンティフェロン陽性であることから、活動性の縦隔リンパ節結核と診断した。術後19日目より抗結核薬(INH,REP,PZA,EB)投与を開始し、現在外来にて治療中である。【考察】肺病変を有さない縦隔リンパ節結核は、特に悪性腫瘍症例ではリンパ節転移との鑑別が困難である。稀ではあるが縦隔リンパ節結核の可能性も考慮した治療方針の決定が重要と考えられた。
索引用語 リンパ節結核, 縦隔リンパ節