セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
113:AFP-L3分画が肝細胞癌の早期発見と治療に有用であった2症例
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演者 |
今中 大(霧島市立医師会医療センター) |
共同演者 |
山崎 成博(霧島市立医師会医療センター), 長谷川 将(霧島市立医師会医療センター), 藤崎 邦夫(霧島市立医師会医療センター) |
抄録 |
[はじめに]AFP-L3分画は肝細胞癌の腫瘍マーカーとして、生物学的悪性度の評価や予後因子としての意義も注目されている。今回我々はL3分画の上昇から27~30ヵ月の期間をおいて画像上肝細胞癌と診断されラジオ波焼灼術後L3分画が検出不能となった2症例を経験したので報告する。[症例1]60歳男性。H19年7月当院受診し慢性B型肝炎と診断。初診時の採血において、AFP 115ng/mL、L3 21.6%と異常を認めるも腹部超音波検査上明らかな肝細胞癌を示唆する所見は認めず、エンテカビルを開始した。開始後はHBV-DNA量の減少と肝炎の鎮静化とともにAFP値は20ng/mL以下となったが、L3分画は常に18%以上を維持。その間定期的に腹部超音波・CT・MRI検査を行うも、肝細胞癌は確認できなかった。ところがH22年1月各種画像検査を施行し肝S5に13mm大の血流豊富な肝細胞癌を認め、2月ラジオ波焼灼術後L3分画は検出不能となり7ヵ月間再発は認めていない。[症例2]64歳女性。C型慢性肝炎で当院通院中H16年7月肝S8肝細胞癌に対し開腹下マイクロ波凝固療法施行。治療直前のAFP 167ng/mL、L3 62.9%。治療後AFP値は20ng/mL前後まで速やかに減少するも、L3分画は20%以上を維持。再発や遠隔転移を疑い定期的な画像検査を行うも異常所見は確認できなかった。H18年10月MRI検査にて肝S6に12mm大の濃染所見を指摘。超音波検査では同定できず、腹部血管造影検査上同部位に濃染像を認めたことより肝動脈塞栓術を選択したがL3分画は低下せず、12月の腹部CT検査では再度濃染所見を認めた。H19年1月超音波検査で確認できたため、ラジオ波焼灼術を追加した。その後L3分画は検出不能で推移し44ヵ月間無再発で経過している。[結語] 画像診断に先行しL3分画が上昇した肝細胞癌症例を経験し、経過観察の重要性と、またL3分画が治療効果判定にも有用であった。 |
索引用語 |
肝細胞癌, AFP-L3分画 |