セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
59:食道を含む全消化管に病変を認めた小腸大腸型クローン病の一例
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演者 |
森下 寿文(九州大学病院消化管内科) |
共同演者 |
河野 真一(九州大学病院消化管内科), 森山 智彦(九州大学病院消化管内科), 中村 昌太郎(九州大学病院消化管内科), 松本 主之(九州大学病院消化管内科) |
抄録 |
症例は22歳,女性.13歳時及び20歳時に腹痛,発熱,下痢の既往があり,ウイルス性腸炎と診断されていた.2010年6月初旬より水様性下痢及び腹痛を認め,40℃台の発熱も出現したため,前医を受診し腹部造影CT検査で小腸及び大腸に著明な腸液貯留及び遠位小腸中心に腸壁肥厚を認め,感染性腸炎と診断され入院となった.絶食,抗生剤投与で加療を受けたが症状改善無く,各種培養検査でも起因菌の同定に至らなかった.下部消化管内視鏡検査で全大腸にアフタ様の小潰瘍が散在し,回腸末端に下堀れ様潰瘍を認めたため,精査加療目的に当科紹介入院となった.経口小腸造影検査では全小腸にびまん性にアフタが多発しており,皺壁は腫大していた.また,下部消化管内視鏡検査では終末回腸に縦走傾向のある潰瘍を認め,回盲部から肝弯曲部を中心として全大腸にアフタ及び類円型潰瘍が散在していた.更に上部消化管内視鏡検査では胃噴門部に竹の節様外観を認めるほか,十二指腸にはびらんが散在し,食道には縦走配列をしたアフタ様潰瘍が多発していた.生検で非乾酪性肉芽腫は認めなかったが小腸大腸型クローン病を疑い,入院3日目よりステロイド(PSL 1mg/kg)での加療を開始したところ,速やかに症状は改善した.炎症所見も改善したため,入院9日目より経腸栄養を開始し,ステロイドの減量を行い,入院42日目に退院となった.食道から大腸までの観察した全消化管に著明な病変を有しているクローン病の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 |
小腸, 炎症性腸疾患 |