セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専03:

不全型腸管ベーチェット病の経過中に食道気管支瘻を合併した一例

演者 鮫島 洋一(財団法人慈愛会今村病院・消化器内科)
共同演者 大井 秀久(財団法人慈愛会今村病院・消化器内科), 眞崎 空(財団法人慈愛会今村病院・消化器内科), 岩下 祐司(財団法人慈愛会今村病院・消化器内科DELIMITER鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病), 徳元 攻(財団法人慈愛会今村病院・消化器内科), 河野 裕一(財団法人慈愛会今村病院・消化器内科), 藤田 浩(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病), 嵜山 敏男(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病)
抄録 【緒言】ベーチェット病における食道病変に関する報告の多くは潰瘍病変であり、食道気管支瘻の報告は多くない。今回、不全型腸管ベーチェット病の経過中に、食道気管支瘻を合併した一例を経験したので報告する。【症例】50歳代、男性。1988年、前医でCrohn病と診断され、以後、回盲部切除術、吻合部切除術、3回の腸管皮膚瘻に対する手術を施行、内服加療されていた。2004年5月、口腔内アフタ、食道病変を指摘され、不全型腸管ベーチェット病の診断となった。predonisolon、colchicine、azathioprine内服開始され、2007年より当科外来で加療継続。以前より認めた咳嗽が、2009年5月から増悪し、同年12月をピークに一旦軽快、2010年4月、感冒を契機に再び増悪した。胸部造影CT及び食道造影検査で食道気管支瘻、肺炎像を認め、下部食道壁内膿瘍も疑われた。絶食、飲水制限、完全静脈栄養とし、咳嗽は軽度減少したが、2週経過後も著明な改善は得られなかった。また、消化管精査では小腸-結腸吻合部に潰瘍病変、狭窄を認めたのみで、他に明らかな活動性病変は認めなかった。本人・家族に十分な説明を行い、infliximab投与(0/2/6週)、predonisolon減量とした。明らかな副作用は認めず、1、2回目投与後、各々のday 2-3、day 7で段階的に咳嗽の減少を認め、血液検査ではCRP 0.0mg/dLで推移したが、EGD所見上変化は認めなかった。Infliximab 3回目投与後は自覚症状、EGD及びCT所見上も明らかな変化は認めず、EGD施行時、瘻孔入口部での送水刺激により咳嗽が出現し、瘻孔の閉鎖には至っていないと考えられた。【結語】不全型腸管ベーチェット病の食道気管支瘻に対し、完全静脈栄養、infliximab投与を行い、瘻孔の閉塞には至らなかったが、自覚症状の改善、ステロイド中止が可能であった。ベーチェット病における食道気管支瘻は稀な症例であり、ここに報告する。
索引用語 ベーチェット病, 食道気管支瘻