セッション情報 一般演題

タイトル 150:

緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した気腫性胆嚢炎の一例

演者 久保 宣博(大分県厚生連鶴見病院)
共同演者 野口 琢矢(大分県厚生連鶴見病院), 藍澤 哲也(大分県厚生連鶴見病院)
抄録 【症例】76歳男性。4月29日に上腹部痛が出現し近医を受診し抗生物質の投与を受けた。翌4月30日に症状が増悪し、前医を紹介され入院。腹部CTにて胆嚢炎と診断され、絶飲食下に輸液ならびに抗生剤を投与し経過観察となった。5月1日に同医にて再度CT検査を行い、胆嚢壁にガス像を認め気腫性胆嚢炎と診断され同日当院に紹介され転院となった。来院時の腹部CTでは胆嚢壁は肥厚しており胆嚢頚部に胆石を認め、壁内にガス像を認め気腫性胆嚢炎と診断した。血液検査にて血小板減少傾向を認め、PTが67%と低下しておりpreDICと考え、全身状態が安定していたことから同日に緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った。【手術】胆嚢は大網に被覆され、肝周囲には腹膜の癒着がみられ黄褐色の混濁した腹水を認めた。周囲臓器を胆嚢から鈍的に剥離し、カロー三角部をCUSAにて剥離し胆嚢管ならびに胆嚢動脈を確認しこれを切離した。肝床から胆嚢を剥離したが胆嚢壁は壊死しており、この操作中に胆嚢壁を一部損傷した。手術は発症後約55時間での執刀で、手術時間1時間35分、出血量は少量であった。摘出胆嚢の病理結果、粘膜には急性・慢性炎症細胞浸潤がみられ、壁にはうっ血像が目立ち、検体の半分以上は密な好中球浸潤を伴い、壊疽に陥っており、Gangrenous cholecystitis であった。術後は合併症なく術後7病日に自宅退院となった。【結語】気腫性胆嚢炎は重症型胆嚢炎に分類されており、本性を疑う場合には、全身状態の許す限り、早期手術が有効と思われた。
索引用語 気腫性胆嚢炎, 腹腔鏡