セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研20:

腹腔内膿瘍を形成した胃GISTの一例

演者 親川 仁貴(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科)
共同演者 西原 実(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 国吉 史雄(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 高橋 遼(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 照屋 なつき(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 澤岻 安勝(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 村山 茂美(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 宮平 工(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 花城 直次(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 奥島 憲彦(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科), 喜友名 正也(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院外科)
抄録  症例は、70歳台、男性。高血圧症、糖尿病、脂質代謝異常症にて内服治療中。2009年末頃から食思不振、全身倦怠感を自覚していた。近医にて施行された血液検査で高度貧血(Hgb8.9g/dl)を認めたため、2010年2月上旬に当院内科へ紹介受診となり、同日精査目的に入院となった。腹部超音波、造影CT、上部消化管内視鏡の所見から、胃粘膜下腫瘍の可能性が高いと考えられた。MAP4単位を輸血し、全身状態の改善を認めたため、翌日に一時退院となった。4日後に外来で輸血(MAP2単位)を施行し、同日行った腹部MRIでも同様に胃粘膜下腫瘍を疑われたため、外科へ紹介受診となり、腫瘍摘出術目的に入院となった。 入院時より低栄養状態を認め、術前の全身状態の改善を目的に高カロリー輸液を施行した。その後胃粘膜下腫瘍に対し、胃全摘術+膿瘍切除術+脾臓摘出術を行った。腫瘍は腹腔内に穿破し膿瘍を形成していた。胃切除組織の腫瘍部では、紡錘型の核と狭い胞体を有する腫瘍細胞が束状に増生し、壊死を伴っていた。免疫染色では、c-kitは一部が陽性、CD34は大部分が陽性、SMAおよびS-100は一部が陽性であり、狭義のGISTの範疇であった。また、核分裂像は少数だが、壊死があり、同時に一部摘出した大網および腸間膜にも同様の腫瘍を認めたことから、腹膜播種を伴う悪性のGISTの診断となった。全身状態が安定したことを確認し、術後約3週間で退院となった。その後外来にてグリベック100mg(4錠/日)内服による化学療法を継続中である。 腹腔内へ穿孔を来すGISTは比較的稀と思われ、報告した。
索引用語 胃GIST, 腹腔内膿瘍