セッション情報 |
特別企画1「これからを担う消化器専門医の育成:われわれの取り組みと課題-内科系の立場から-」
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タイトル |
SP1-03:当科における消化器専門医の育成システムについて
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演者 |
阿部 慎太郎(産業医科大学第3内科DELIMITER産業医科大学病院産業医臨床研修等指導教員) |
共同演者 |
田原 章成(産業医科大学第3内科), 原田 大(産業医科大学第3内科) |
抄録 |
平成16年度に新臨床研修制度が導入され、全国の大学病院における初期研修医の割合は、平成17年度以降50%を下回る厳しい状態が続いている。当院においても、本年度より初期研修医の定員枠が年間10名までに制限され、初期研修医不足は否めない。しかしその反面、旧制度に比べ基本的臨床能力が高いとされている後期研修医(卒後3~6年目に大学に在籍し、当院では専修医と呼称)が、産業医学修練のため大学に戻ってくる割合が高い。現在、第3内科では、肝臓グループ6名、消化管グループ3名、膵臓グループ5名のスタッフ(内、内科学会指導医9名、消化器病学会指導医5名、消化器内視鏡学会指導医3名、肝臓学会指導医2名)が、4名の専修医に対しこれからを担う消化器専門医にすべく育成を行っている。まず、専修医が診療するにあたり、良好な患者-医師関係、チーム医療や医療安全の重要性を認識させ、新患紹介、総回診やカンファレンスにより、知識の習得やプレゼンテーション能力の向上に努めている。また、専修医のリサーチマインドを養い、良質な臨床研究を行わせるべく、定期的に抄読会を行い、学会発表や論文投稿に際し綿密な指導をしている。一方、演者は当科スタッフの一員で、主に肝・胆道疾患の指導を行うとともに、当大学病院副プログラム責任者として臨床研修の統括管理に携わっている。これらを基盤として、肝生検、肝癌に対する経皮的治療、上下部消化管内視鏡検査、ポリープ切除術、消化管止血術、内視鏡的逆行性胆管膵管造影、ステント留置や乳頭切開術を指導医とともに施行させ、手技の習得とともに、適応と合併症を理解させるべく指導している。その結果、当科では専修医課程が終了する時期(卒後6年目)には、ほぼ全ての検査・治療を術者として施行できるレベルに達している。このように、当科では少数精鋭体制による充実した消化器専門医育成システムが確立しつつあるが、リスクマネージメントや専修医の健康管理上、もう少し余裕のあるスタッフおよび専修医数の確保が望まれる。そのためには他大学出身者(産業医学修練の義務なし)の後期研修も歓迎している。 |
索引用語 |
消化器専門医, 後期研修医 |