セッション情報 |
研修医発表(卒後2年迄)
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タイトル |
研99:肝腫瘍生検にて診断し得た肝血管肉腫の1剖検例
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演者 |
浦 和也(福岡県済生会二日市病院) |
共同演者 |
佐藤 公昭(福岡県済生会二日市病院), 福嶋 博文(福岡県済生会二日市病院), 武元 良祐(福岡県済生会二日市病院), 是此田 博子(福岡県済生会二日市病院), 宮岡 正喜(福岡県済生会二日市病院), 金光 高雄(福岡県済生会二日市病院), 青木 良祐(久留米大学病理学講座), 矢野 博久(久留米大学病理学講座), 黒木 淳一(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学内科学講座消化器内科部門) |
抄録 |
症例:62歳男性。輸血歴なし、アルコール1合程度。塩化ビニル・トロトラスト暴露歴なし。平成21年5月、脳出血にて当院脳神経外科入院中に肝酵素上昇で精査、USにて肝内占拠性病変を指摘され内科へ転科となった。貧血・黄疸なし。腹部に異常所見を認めず。AST86,ALT47,ALP375,TB2.1と上昇、AFP,PIVKA-IIは正常,CEA5.8,CA19-9 52.6は軽度上昇していた。HBs抗原陰性、HCV抗体陽性。腹部CTで肝内に数~35mm大の造影早期相より濃染されその後も造影効果の持続する腫瘤を多数認めた。明らかなリンパ節腫大もなく、胆嚢、膵臓、腎臓等に異常所見はなかった。腹部MRIではT1WI-low/T2WI-highの肝内に多発する大小の腫瘤を認め、早期より強く造影され肝細胞造影相で正常肝細胞と等信号を呈した。臨床経過:上下部消化管内視鏡検査するも異常なし。9月9日肝腫瘍生検を施行。核異型を有する細胞から構成される管腔構造を認め、CD34、Vimentin陽性から血管肉腫が疑われた。生検直後は全身状態変化なく貧血も認めなかった。生検8日後、出血性ショックを生じ緊急腹部血管造影施行するも明らかな出血部位の同定できず、9月16日永眠された。剖検所見:腹腔内には多量の血性腹水を認め、肝割面では境界不明瞭な多発性腫瘤を認めた。組織学的には類洞内で異型の紡錘形細胞や多形性を示す細胞が増殖し背景の肝細胞索は萎縮、消失していた。異型の紡錘形細胞がシート状あるいは不規則な管腔を形成増殖している部分も認めた。また門脈浸襲も認めた。免疫染色ではCD34、FactorVIII、Vimentin陽性であり、D2-40、HP-1、EMA、PAS陰性で血管肉腫の像であった。肝下面背側には凝血塊が少量付着していたが肝生検部分からの出血は明らかでなかった。結語:今回我々は肝腫瘍生検にて診断をし得た肝血管肉腫の一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
肝血管肉腫, 肝腫瘍生検 |