セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 114:超音波検査、MRI検査、病理組織が比較検討できた多発肝細胞癌の一例 |
演者 | 大野 美紀(久留米大学医療センター消化器内科) |
共同演者 | 田中 正俊(久留米大学医療センター消化器内科), 下瀬 茂男(久留米大学医療センター消化器内科), 倉岡 圭(久留米大学医療センター消化器内科), 堀 まいさ(久留米大学医療センター消化器内科), 由谷 茂(久留米大学医療センター消化器内科), 原田 和徳(久留米大学医療センター消化器内科), 山口 倫(久留米大学医療センター病理診断科), 中島 収(久留米大学病院病理学講座), 佐田 通夫(久留米大学病院消化器内科) |
抄録 | 【初めに】肝細胞癌の早期診断にはEOB-MRI検査とソナゾイド超音波検査の組み合わせの評価が高いといわれている。今回、肝細胞癌切除後の再発多発癌結節の位置同定、造影動態、病理分化度をそれぞれ検討し、興味ある所見を得られた症例を経験したので報告する。【症例】症例は69歳女性、C型肝硬変合併肝癌で2009年10月に左葉切除を受け、当科で経過観察をされていた。2010年5月腹部超音波検査で肝S5、S6、S7に4か所の結節影を指摘された。血液検査ではAFP 572 ng/mL、PIVKAII 24 mAU/mLと軽度上昇を認めていた。造影CT検査では4か所のうち2か所の結節影は早期相で濃染、後期相でwashoutする所見を認めた。次にEOB-MRI検査では肝細胞相で4つの結節に欠損像を認めたが、欠損の程度は結節ごとに異なっていた。さらにソナゾイド超音波検査では早期動脈相では造影効果のある結節と無い結節が認められた。さらに、クッパー相では4つの結節で種々の程度の欠損像が確認された。超音波検査とEOB-MRI検査、造影CT検査のLOGIQ E9によるフュージョン画像で結節の位置と、それぞれの画像診断による血流動態を確認したのちに、治療前の狙撃生検診断で結節ごとの組織診断と分化度を検討したところ、4つの結節は高分化型肝細胞癌、高‐中分化型肝細胞癌、混合型肝癌と異なる組織像が得られた。以上の結果より、本症例は肝細胞癌と混合型肝癌の多中心性発生と考えられた。肝動脈塞栓術および経皮的ラジオ波熱凝固療法を併用し加療を行い、現在外来経過観察中である。【考察】EOB-MRI画像、造影CT画像と超音波画像の比較、結節ごとの病理診断と分化度について同一症例で比較検討することができた。肝細胞癌の多中心性発生と肝内転移再発、ならびに早期混合型肝癌の画像診断に関する若干の知見を得たので報告する。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 画像診断 |