セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専56:下膵十二指腸動脈瘤破裂の1例 |
演者 | 森田 拓(久留米大学消化器内科) |
共同演者 | 杉山 元(久留米大学消化器内科), 隈本 朝子(熊本セントラル病院), 小金丸 雅道(久留米大学放射線科), 岩本 良二(久留米大学放射線科), 石田 祐介(久留米大学消化器内科), 加治 亮平(久留米大学消化器内科), 岡部 義信(久留米大学消化器内科), 鶴田 修(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科) |
抄録 | 症例は49歳、男性。2010年3月上旬ごろより、心窩部痛が出現するようになった。市販薬内服で症状は軽減していたが、その数日後より腹痛が増強してきたため、近医へ緊急搬送された。腹部CTで膵頭部周囲に液体貯留が認められたため、原因精査および加療目的で当院へ転院となった。既往歴に胃潰瘍及び高血圧がある。当院入院時、意識は清明、Vital signに異常はなかったが、心窩部に軽度の圧痛を認めた。血液生化学検査所見では、WBC 9800/l, CRP 8.79mg/dLと炎症所見を認め、RBC 291×104/l, Hg9.0mg/dL, Ht26.1%と貧血を認めた。また、AST39U/L ALT54 U/L γGTP56 U/L T Bil1.9mg/dLと軽度の肝障害を認めていた。当初急性膵炎も疑っていたため、絶食・輸液管理とし厳重経過観察としていた。第3病日目に膵周囲の液体貯留の増加および貧血の進行を認めたため、腹部造影CTを再検したところ、膵および脾臓周囲に出血を疑う液体貯留を認め、さらに血管構築像で前後した膵十二指腸動脈瘤を認めた。また、同時に施行した上部消化管内視鏡検査で、下十二指腸角周囲の十二指腸粘膜に青黒色透見像と管腔の軽度の狭小化を認めた。以上の経緯より、下膵十二指腸動脈瘤破裂と診断した。待機的に腹部血管造影を施行し、2期的に動脈瘤塞栓術を行った。術後の第2病日目に嘔吐し十二指腸水平脚に狭窄を併発したが、減圧目的に胃管を留置し保存的に経過観察とした。術後第37病日目の、消化管造影で十二指腸狭窄は改善傾向を認めたため胃管を抜去し、経口摂取を開始した。以後、順調に経過し退院となった。腹部内臓動脈瘤破裂は比較的稀な疾患で、その中で膵十二指腸動脈瘤破裂は1‐2%とさらに頻度が低い。本疾患は、突然の腹痛と出血性ショックとなることが多く重篤化とするため、迅速な診断と治療が必要である。しかし、本症例のように出血が後腹膜腔に限局した場合には、臨床症状に乏しいこともある。今回、保存的に加療し得た膵十二指腸動脈瘤破裂症例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。x |
索引用語 | 腹部内蔵動脈瘤, 動脈塞栓術 |