セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研59:PEG-IFNα-2a/RBV併用療法によってネフローゼ症候群を発症したC型慢性肝炎の一例 |
演者 | 永田 青海(鹿児島大学消化器内科) |
共同演者 | 橋口 正史(鹿児島大学消化器内科), 屋 万栄(鹿児島大学 腎臓内科), 小田 耕平(鹿児島大学消化器内科), 最勝寺 晶子(鹿児島大学消化器内科), 馬渡 誠一(鹿児島大学消化器内科), 呉 建(鹿児島大学消化器内科), 熊谷 公太郎(鹿児島大学消化器内科), 小山田 美紀(鹿児島大学 腎臓内科), 玉井 努(鹿児島大学消化器内科), 森内 昭博(鹿児島大学消化器内科), 野崎 剛(鹿児島大学 腎臓内科), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器内科), 桶谷 真(鹿児島大学消化器内科), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器内科) |
抄録 | 〈症例〉67歳 男性〈現病歴〉2008年9月健診でHCV抗体陽性を指摘,近医でC型慢性肝炎と診断された.Genotype 1型 高ウイルス量であり2008年12月PEG-IFNα-2a 180μg/Ribavirin 600mg併用療法を開始した.開始20週後にHCV-RNAは陰性化したため延長投与の方針で,2010年3月中旬(67週目)まで減量なく投与したが,全身性浮腫,腹満が出現,3月下旬 TP 3.9 g/dl,Alb 1.9 g/dl,尿蛋白 3+とネフローゼ症候群と診断,PEG-IFNα-2a/Ribavirin併用療法を中止した.利尿薬を開始したが体重は増加,低蛋白血症,蛋白尿に改善ないため精査加療目的で当科入院となった.〈入院時所見〉脈拍 100 bpm,整,血圧 173/127 mmHg,顔面(特に眼瞼)および両側下腿に著明な浮腫.胸部に特記所見なし.腹部膨隆を認めた.AST 77 IU/l,ALT 36 IU/l,TP 4.0 g/dl,Alb 1.3 g/dl,BUN 13.0 mg/dl,Cr 0.9 mg/dl,T-Chol 301 mg/dl,HCV-RNA 検出せず,尿蛋白量 4.1 g/日,胸部X線および腹部エコーで胸腹水を認めた.〈入院後経過〉腎生検で,メサンギウム細胞増殖,基底膜肥厚,半月体形成はなく,免疫蛍光染色は全て陰性であり微小変化型ネフローゼ症候群と診断した.入院安静にて改善なく,4月中旬からステロイドパルス療法を施行し,後療法としてステロイド40mgを継続投与した.一時的に体重増加,腎機能の増悪(Cr 2.8 mg/dl,尿蛋白約7 g/日)がみられたが,5月初旬から尿量増加し,尿蛋白および浮腫,胸腹水が減少,腎機能の改善をみたため,ステロイドを漸減し退院した.尚,PEG-IFNα-2a/Ribavirin併用療法中止後2ヵ月のHCV-RNAは5.9 LogIU/mlであった.〈考察〉C型慢性肝炎に対するIFN治療中に生じた腎障害は,HCV関連腎炎とIFNによる腎障害との鑑別が困難である.本症例は,HCV-RNA陰性化後に発症し,腎生検で微小変化型ネフローゼ症候群と診断されたことからIFNによる腎障害と考えられた.IFN-βと異なり,IFN-αによるネフローゼ症候群の報告は少なく,PEG-IFNα-2a/Ribavirin併用療法での報告例はないため若干の文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | インターフェロン, ネフローゼ症候群 |