セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研41:

周囲小腸と一塊となり交通を有した巨大GISTの一例

演者 原田 英(公立学校共済組合九州中央病院)
共同演者
抄録 周囲小腸と一塊となり交通を有した巨大GISTの一例九州中央病院 外科原田英、長谷川博文、工藤健介、二宮瑞樹、本坊拓也、濱津隆之、椛島章、牛島千衣、北村昌之61歳男性。平成22年6月近医受診し、臍下部に手拳大の腫瘤を触知し血液検査ではHb3.7と著明な貧血を認めた。自覚症状として数か月前から強い倦怠感があったが、下血、血便の自覚はなかった。腹部腫瘤と貧血の精査目的で当院を紹介受診となった。造影CTにて下腹部に巨大な腫瘤(17×10cm)を認め、内腔は拡張しair-fluid levelが認められた。膀胱壁と連続し内部に壊死を生じており、腸管GIST、肉腫、尿管由来の腫瘍が鑑別に挙げられた。この中で特に腸管GISTが疑われたため、注腸造影検査を行ったところ下腹部に約20cmの充実性腫瘤が上行結腸を圧排している所見が得られた。また、小腸造影検査にて下腹部に空洞形成した約15cm大の充実性腫瘤がみとめられ、中下部小腸に数箇所の交通を認めた。画像を総合的に判断すると小腸GISTが考えられ、貧血を改善し7月に手術を施行した。術中所見では腹腔内に腹水はみとめられなかったが、小腸内には血液が透見された。トライツ靭帯より140cm肛門側に壁外性に発育する腫瘍をみとめ一部膀胱壁に浸潤しており一部合併切除した。腫瘍は3か所で小腸と交通していた。腫瘍より5cmずつ離した部位にて切除し小腸部分切除術を行った。最終病理診断で腫瘍は紡錘状細胞が束状に増殖し、免疫組織化学的検査においてC-KIT陽性、CD34陽性示したため、小腸GISTの診断が確定した。腫瘍は10cmを超え核分裂像が44/50HPFと高リスク群であると考えた。そのため、退院後はグリベックによる補助化学療法を行う方針となった。本症例は17cm大と巨大な小腸GISTで、さらに腫瘍による腸管の交通を認めた一例であり、文献的考察を加え報告する。(775.5文文字)
索引用語 小腸, GIST