セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 162:嚢胞形成を伴った退形成膵管癌の1例 |
演者 | 杉山 元(久留米大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 石田 祐介(久留米大学病院 消化器内科), 加治 亮平(久留米大学病院 消化器内科), 岡部 義信(久留米大学病院 消化器内科), 安元 真希子(久留米大学病院 消化器内科), 永田 務(柳川病院), 菅 偉哉(柳川病院), 堀内 彦之(久留米大学病院 外科), 川原 隆一(久留米大学病院 外科), 木下 壽文(久留米大学病院 外科), 佐田 通夫(久留米大学病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は59歳男性。2009年8月下旬より背部痛が出現し近医受診。肝胆道系酵素の上昇及び腹部造影CTで膵頭部に径40mmの嚢胞性病変を認め精査加療目的で当院紹介となった。既往歴にC型慢性肝炎、高血圧症がある。当院入院時、腹部に軽度の圧痛、自発痛を認めていた。血液生化学検査上、ALT 61U/L,γGTP 179U/L,T Bil 1.28mg/dLと軽度の肝胆道系酵素の上昇を認めていたが、腫瘍マーカーはCEA,CA19‐9共に陰性であった。腹部USでは膵頭部に径60mmの充実性腫瘤を伴う嚢胞性病変を認めた。腹部造影CTでは比較的境界明瞭な単房性嚢胞と嚢胞辺縁に淡い造影効果を有する充実部分が認められた。嚢胞内容は、単純CTで不均一な高吸収域を認め、また前医MRIでも腫瘍はT1強調、T2強調で共に軽度高信号であることから出血が疑われた。EUSでは、嚢胞内部に乳頭状の充実部分がより明瞭に認められた。ERPでは明らかな嚢胞との交通は認めず、また膵液細胞診ではClass Iだった。以上の画像診断より、IPMN由来浸潤癌やMCN由来浸潤癌、あるいは通常型膵癌に出血壊死を伴ったものなどが鑑別に挙げたが確診に至らず、十分なInformed consentのもと嚢胞内の充実部に対して経十二指腸的EUS-FNAを施行した。生検診断はadenocarcinomaで、その後膵頭十二指腸切除術が施行された。摘出病理診断はanaplastic carcinomaだった。術後補助化学療法を行ったが、急速に多発肝転移出現し術後約4ヵ月で死亡された。退形成膵管癌は浸潤性膵管癌の中でも稀な疾患であり、予後不良である。画像所見では巨大な腫瘍で、内部に出血、壊死を伴うことが多いとされる。今回、嚢胞形成を伴った退形成膵管癌を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 嚢胞形成, 退形成膵管癌 |