セッション情報 シンポジウム1「慢性膵炎をめぐる諸問題-病態・診断・治療まで-」

タイトル S1-01:

慢性膵炎診断における超音波内視鏡(EUS )検査の有用性に関する検討

演者 大野 隆真(九州大学大学院 病態制御内科)
共同演者 久保 宏明(社会保険仲原病院 内科), 板場 壮一(麻生飯塚病院 消化器内科), 麻生 暁(九州大学大学院 病態制御内科), 藤森 尚(九州大学大学院 病態制御内科), 吉永 繁高(国立がんセンター中央病院 内視鏡部), 五十嵐 久人(九州大学大学院 病態制御内科), 河邉 顕(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 松尾 享(済生会福岡総合病院 内科), 宜保 淳也(中津市民病院 消化器内科), 加来 豊馬(国立病院機構 別府医療センター 消化器内科), 安田 幹彦(九州労災病院 内科), 中村 太一(九州大学大学院 病態制御内科), 新名 雄介(九州大学大学院 病態制御内科), 肱岡 真之(九州大学大学院 病態制御内科), 内田 匡彦(九州大学大学院 病態制御内科), 立花 雄一(国立病院機構 福岡東医療センター 消化器科), 下川 雄三(九州大学大学院 病態制御内科), 中村 和彦(九州大学大学院 病態制御内科), 伊藤 鉄英(九州大学大学院 病態制御内科), 高柳 涼一(九州大学大学院 病態制御内科)
抄録 (背景)慢性膵炎はこれまで早期に診断することは困難とされていたが、近年超音波内視鏡(EUS)の普及に伴い、早期慢性膵炎という概念が従来の診断法にEUS所見を加味することにより提唱され、慢性膵炎の診断に対するEUSの役割が注目されている。(目的)当科で経験した慢性膵炎症例の診断におけるEUSの有用性について検討する。(方法)2007年1月から2010年6月まで内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)とEUS両検査が行われ、その他の慢性膵炎診断パラメーターも加味した診断手順に従い診断された(慢性膵炎疑診を除く)慢性膵炎47例(男性19例、女性28例)に対し、慢性膵炎診断におけるEUSの有用性、位置付けを検討した。検討したEUS所見は1)蜂巣状分葉エコー、2)不連続な分葉エコー、3)点状高エコー、4)索状高エコー、5)嚢胞、6)分枝膵管拡張、7)膵管辺縁高エコー、8)膵管内結石、9)石灰化、10)主膵管の不整な拡張、11)膵の変形)である。(成績)診断手順により診断された慢性膵炎確診例(確診例)14例、慢性膵炎準確診例(準確診例)7例、早期慢性膵炎(早期例)16例、早期慢性膵炎疑い(早期疑例)10例であった。EUSにて早期慢性膵炎以上の画像所見を得られたのは40例(85%)で、ERP 41例(87%)とほぼ同程度であった。EUSのみで診断可能な症例は確診例で3例(21.4%)、準確診例では認めず、早期例で13例(81.3%)、早期疑例で6例(60.0%)であった。ERPのみではそれぞれ3例、7例、13例、6例であった。EUS所見は点状高エコー(77%)が最も多く、続いて索状エコー、膵管辺縁高エコー、分枝膵管拡張の順で、分葉エコーが最も少なかった。結論:慢性膵炎診断においてEUSは膵管病変の拾い上げにおいてはERPに劣るものの、石灰化や膵石など明らかな確診所見や早期の微細な実質変化に関し高い有用性を示した。EUSは慢性膵炎、特に早期慢性膵炎診断において侵襲性などの観点からも不可欠な検査法である。
索引用語 慢性膵炎, 超音波内視鏡