セッション情報 一般演題

タイトル 158:

CTにて診断し、TAEにて治療を行った特発性膵十二指腸動脈瘤の1例

演者 森山 初男(大分大学医学部消化器外科)
共同演者 岩下 幸雄(大分大学医学部消化器外科), 小川 聡(大分大学医学部消化器外科), 矢田 一宏(大分大学医学部消化器外科), 太田 正之(大分大学医学部消化器外科), 野口 剛(大分大学医学部消化器外科), 北野 正剛(大分大学医学部消化器外科)
抄録  膵十二指腸動脈瘤は腹部内臓動脈瘤の2%にすぎない稀な疾患でありますが, 破裂例では速やかな診断および治療が要求される. 今回我々は, 腹部CT検査にて診断し, 速やかにTEAにて治療を施行した1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する. 症例は73歳,女性.2007年12月下旬腹部の膨満感を自覚して近医を受診した.腹部レントゲン検査にて拡張した小腸像を認め、腸閉塞が疑われ当院救急外来を受診した.既往歴として僧帽弁閉鎖不全症に対し僧帽弁置換術が施行されており,ワーファリン1.25mg内服中であった.来院時現症では右上腹部に軽度の圧痛を認めるも,腹膜刺激症状は認めなかった.血液検査ではPT28.7%, INR2.81と延長していたが,その他は異常所見は認められなかった.腹部CT検査では膵臓周囲に広範囲に淡い高吸収域を認め血腫が疑われた.造影CTでは淡い高吸収域の内部に動脈瘤を疑わせる構造物が認められ,それは上腸間膜動脈に連続していた.以上より下膵十二指腸動脈瘤破裂による後腹膜出血と診断した.全身状態が安定していたため血管造影検査にて確定診断を行う方針とした.上腸間膜動脈造影にて前下膵十二指腸動脈(AIPDA)に不整な拡張と造影剤のpoolingを認め仮性動脈瘤と診断した.Extravasationは認めなかったが,この動脈瘤が後腹膜出血の原因と考えられたため動脈塞栓術を施行することとした.マイクロカテーテルをAIPDAに進め,detachable coilを使用し塞栓術を施行した.術後は特に問題なく経過し第12病日退院となった.CT検査で動脈瘤の存在を確認できたため,速やかに動脈塞栓術が施行できたと考えられた.
索引用語 膵十二指腸動脈瘤, TAE