セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専26:

B型肝硬変に対するエンテカビルの治療成績

演者 土持 舞衣(宮崎大学内科学講座消化器血液学)
共同演者 永田 賢治(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 蓮池 悟(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 中村 憲一(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 楠元 寿典(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 岩切 久芳(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 安倍 弘生(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 三池 忠(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 田原 良博(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 山本 章二朗(宮崎大学内科学講座消化器血液学), 落合 俊雅(古賀総合病院内科), 下田 和哉(宮崎大学内科学講座消化器血液学)
抄録 【はじめに】B型慢性肝疾患に対して核酸アナログ製剤が広く使用されており,特にエンテカビルにより治療効果は向上している.今回エンテカビルを投与された肝硬変症例で2年以上経過観察した症例に治療成績について検討したので報告する.【対象・方法】B型肝硬変に対してエンテカビルを投与され,2年以上経過観察できた18例を対象とした.投与後2年までのHBV-DNA陰性化率,ALT正常化率について検討した.ALTは30IU/L以下を正常,HBV-DNAは2.6log未満を陰性とした.【結果】対象者は男性8例,女性10例,年齢は57歳(中央値),投与期間は39か月(中央値)であり,全例生存中である.HBe抗原は陽性5例,陰性11例であった.投与前の臨床検査所見は血小板9.7±3.6×104/μl,ALT 142.4±226.2IU/L,T-Bil 1.5±2.3mg/dl,アルブミン 3.9±0.4g/dl,AFP 8.4ng/ml(4-42),HBV-DNA 6.3logcopy/ml(中央値)であった.投与3か月後,6か月後,1年後,2年後のALT正常化率は,61.1%,83.3%,83.3%,94.4%,HBV-DNA陰性化率は,66.7%,94.4%,100%,100%であった.2年後では66.7%の症例でrealtime PCR法による定量法においても検出感度以下であった.エンテカビル耐性例はみられなかった.アルブミンは投与2年後に4.3±0.3g/dlと治療前と比較して有意に増加した.3例は投与開始時にHCC治療後であったが,これらの症例を含めHCCの発症はなく,肝不全進行例もみられていない.【結語】エンテカビル投与肝硬変症例の治療成績は良好であり,耐性株の出現もみられていない.エンテカビルは肝硬変症例に対しても有用である.
索引用語 B型肝硬変, 核酸アナログ