セッション情報 一般演題

タイトル 141:

ステロイドが奏功した市販胃腸薬による胆汁うっ滞型薬物性肝障害の一例

演者 最勝寺 晶子(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 山路 尚久(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 小田 耕平(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 橋口 正史(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 馬渡 誠一(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 呉 建(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 熊谷 公太郎(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 船川 慶太(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 嵜山 敏男(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 真(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 平木 翼(鹿児島大学人体がん病理学), 美園 俊明(鹿児島市立病院消化器科), 山元 隆文(国立療養所星塚敬愛園), 松元 淳(鹿児島県民総合保健センター), 佐藤 保則(金沢大学形態機能病理学), 中沼 安二(金沢大学形態機能病理学), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【症例】47歳の男性。尿黄染、心窩部痛を主訴に前医受診。黄疸、肝胆道系酵素上昇、胆管壁肥厚を認め当科紹介入院となった。高ビリルビン血症(T-Bil 9.0mg/dl,、D-Bil 6.2mg/dl)、肝胆道系酵素の上昇(AST 62IU/l、ALT 116IU/l、ALP 1027IU/l、γ-GTP 125IU/l)を認め、腫瘍マーカーはDUPAN-2のみ1600U/mlと高値であった。腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査では腫瘍性病変は明らかでなく、胆嚢壁肥厚、総胆管~肝内胆管の壁肥厚を認めた。超音波内視鏡検査では胆管の層構造は保たれ、ERCPでも胆管の拡張や壁不整像はなかった。膵頭部に点状、索状の高エコー、分葉状エコーあり慢性膵炎が疑われたが、膵管に異常なく、IgG4は基準値内であった。肝組織では、小葉中心性の胆汁うっ滞像、炎症細胞浸潤、軽度の細胆管障害を認め、薬物性肝障害が考えられた。発症前に市販胃腸薬を常用していたが、薬物リンパ球刺激試験が陽性で起因薬物と考えられた。DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップ診断基準で、胆汁うっ滞型、スコアリング6点であった。高ビリルビン血症は遷延しUDCA投与で黄疸は改善せず、ビリルビンはさらに上昇(T-Bil 15.2mg/dl、D-Bil 10.5mg/dl)、倦怠感増強し、副腎皮質ホルモン40mgを開始したところ黄疸は速やかに改善した。【考察】薬物性肝障害の診断は困難なことが多く、通常は起因薬中止で改善するが、胆汁うっ滞型では遷延することも多い。本症例は、黄疸、肝胆道系酵素の上昇あり、画像上、胆管壁肥厚と慢性膵炎を疑う所見があった。胆管の狭窄、拡張像や枯れ枝状所見、膵管狭細像を認めないが、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎に伴う胆管炎も完全には否定できないと判断し、精査のため肝生検を施行し胆汁うっ滞型薬物性肝障害と診断し、副腎皮質ホルモンが奏功した。市販胃腸薬による胆汁うっ滞型薬物性肝障害の稀な一例を経験したので報告する。
索引用語 薬物性肝障害, 市販胃腸薬