セッション情報 一般演題

タイトル 73:

食道完全狭窄症例の胃瘻事故抜去後に、経皮経肝胆道鏡ドレナージカテーテルを用いて胃瘻孔を拡張し胃瘻を再造設した1例

演者 翁長 正明(メディカルシティ東部病院 消化器内科)
共同演者 東 秀史(同 外科), 瀬口 浩司(同 外科), 島 雅保(同 外科), 栄福 亮三(同 外科)
抄録 患者は85歳、女性。脳梗塞後遺症のため寝たきり。原因不明の食道狭窄により食事が摂取できなかったため、2010年2月8日他医で外科的に胃瘻を造設された。4月14日養護老人ホームに入所。5月29日胃瘻が抜けている事に職員が気づき、加療のため当院を受診した。胃瘻孔はピンホール状に狭窄しており、ガイドワイヤーを留置した。上部内視鏡検査(GS)では食道は切歯より25cmの部位で完全狭窄していた。そのため入院6病日セルジンガーPEG Kitのダイレーターを用いて胃瘻孔の拡張を試みた。しかし胃が虚脱しておりダイレーターが胃後壁を損傷する可能性があったため拡張を中止した。経皮経肝胆道鏡ドレナージカテーテル(以下、PTCSカテーテル)を用いると、安全に胃瘻孔を拡張することができた。瘻孔より経鼻内視鏡を挿入し観察すると、食道は噴門部で完全閉塞していた。拡張した瘻孔にバンパー・ボタン型の胃瘻を挿入し、再造設した。【考案】PTCSカテーテルは経皮的に胆道ドレナージ用の瘻孔を形成するために用いるチューブであり、長さが60cmで、先端から50cmの部分まで徐々に太くなっている。12種類の太さがあり、本例では20Frのカテーテルを使用し胃瘻孔を拡張した。通常、胃瘻事故抜去後の再造設は胃瘻孔からガイドワイヤーを挿入し、GS下でプル・プッシュ法にて胃瘻造設用チューブを挿入することが多い。本症例では通常の方法では胃瘻の再造設はできず、外科的に開腹下で胃瘻を再造設するしかないと思われた。当院では以前に頚部食道癌による食道の高度狭窄症例に対しPTCSカテーテルを用いて瘻孔を拡張し胃瘻を再造設した経験があり、本症例でもスムースに拡張することができた。PTCSカテーテルにて瘻孔を拡張し胃瘻を再挿入する方法は、手技も簡便であり、食道の高度狭窄や閉塞例またはGS困難症例の胃瘻事故抜去に対し、考慮すべき方法と思われる。これまでPTCSカテーテルを用いて胃瘻孔を拡張した報告はなく、貴重な症例と考え報告する。
索引用語 胃瘻事故抜去, 経皮経肝胆道鏡ドレナージカテーテル