| セッション情報 | 一般演題 |
|---|---|
| タイトル | 128：自己免疫性肝炎とB型肝炎の合併が疑われた慢性肝炎急性増悪の一例 |
| 演者 | 有尾 啓介（国立病院機構嬉野医療センター消化器内科） |
| 共同演者 | 福田 浩子（国立病院機構嬉野医療センター消化器内科）, 吉田 亮（国立病院機構嬉野医療センター消化器内科）, 藤瀬 剛弘（国立病院機構嬉野医療センター消化器内科）, 川副 広明（国立病院機構嬉野医療センター消化器内科）, 鶴田 英夫（国立病院機構嬉野医療センター消化器内科）, 内藤 慎二（国立病院機構嬉野医療センター臨床検査科病理）, 古賀 満明（国立病院機構嬉野医療センター消化器内科） |
| 抄録 | 【症例】55歳，男性．20代でB型肝炎を指摘され，以後肝庇護剤の処方を受けていた．2009年2月頃から肝機能増悪傾向となり2010年2月当院紹介．血液検査でAST 376 IU/l，ALT 577 IU/l，HBV-DNA 9.1LC/ml，HBe抗原陽性．IgG上昇やRF高値が認められたが，ANAなどの自己抗体はいずれも陰性．画像上肝の萎縮なくperiportal edemaを認める以外に有意所見なし．肝生検でA2/F2～3の病理所見であり抗ウイルス薬の適応と考えられた．【経過】B型慢性肝炎急性増悪と診断，エンテカビルを開始し２ヶ月でHBV-DNAが9.1から4.8LC/mlへ低下，eAg低下とeAb上昇も認められたがETV開始後も肝酵素は上昇，ALT1200IU/ml前後まで悪化し自覚症状の増悪やT-bil，PT値の変動がみられた．AIH診断基準で低スコアであったが病理所見上ロゼット形成や形質細胞，好酸球など多彩な炎症細胞浸潤が認められ，B型肝炎のみでなくAIHなど自己免疫的機序を含む他疾患の合併が示唆された．AIHに準じてPSL40mg/dayを併用し肝酵素は正常化，PSL漸減後も肝酵素増悪なく，HBV-DNAも低値で経過しseroconversionも認めている．【考案】B型肝炎とAIHの合併は比較的稀であり，自己抗体の上昇が乏しい本症例がAIH合併と診断することに議論の余地は残るが，病理所見上は明らかに自己免疫的機序を示唆する多彩な所見を認め，経過からもステロイド併用が最も効果的であった．一方でB型慢性肝炎急性増悪に対して核酸アナログ製剤は非常に有効であるがHBVが減少し肝機能が改善するまでのtime lagが発生する場合があるため，重症化例ではステロイドや免疫抑制剤の併用が肝不全予防に有効であるという報告も多数認める．本症例はいずれの可能性も考えられる示唆に富む経過であり文献的考察を加えて報告する． |
| 索引用語 | B型慢性肝炎急性増悪, 自己免疫性肝炎 |