セッション情報 一般演題

タイトル 139:

自己免疫性肝炎と鑑別が困難であった原発性硬化性胆管炎の一例

演者 城間 丈二(ハートライフ病院)
共同演者 新城 勇人(ハートライフ病院), 折田 均(ハートライフ病院), 宮城 純(ハートライフ病院), 佐久川 廣(ハートライフ病院), 前城 達次(琉球大学第一内科), 金城 福則(琉球大学光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学第一内科), 平良 正昭(たいら内科)
抄録 【はじめに】自己免疫性肝炎と原発性硬化性胆管炎は、いずれも自己免疫性肝疾患として認知されている。今回、我々は薬剤性肝障害の改善後に自己免疫性肝炎を発症したものとして治療を続けるもその効果に乏しく、改めて画像検査を施行したところ原発性硬化性胆管炎に特徴的な所見を得た症例を経験したので報告する。【症例】69歳の男性で、高血圧症および気管支喘息にて近医通院中であった。2007年6月肝機能障害がみられたため精査・加療目的に他病院へ入院となった。その際の検査(リンパ球刺激試験および内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(以下ERCP)を含む)で薬剤性肝障害と診断され、ウルソデオキシコール酸(以下UDCA)300mg/日の内服で経過観察された。しかし肝機能障害が持続するため同年7月に当院へ入院し肝生検を含めた精査を行い、再度薬剤性肝障害と診断された。その後UDCAを600mg/日へ増量し、かかりつけ医で経過観察としたが肝機能障害は持続した。また抗核抗体が640倍と上昇していたため2009年7月よりプレドニゾロン(以下PSL)30mg/日の内服も追加したところ肝機能が改善したため、PSLを5mg/日まで漸減した。しかし肝機能障害が再び出現しPSLを30mg/日へ増量するも改善がみられないため、2010年3月に当院へ再度入院し精査を行った。抗核抗体が陽性で、また肝生検にて活動性肝炎がみられたことから自己免疫性肝炎を強く疑った。一旦退院となったが、退院直前の腹部超音波検査において、これまでみられなかった肝内胆管の拡張をはじめて認めた。以後も肝機能障害が持続したため同年5月に3回目の入院となった。腹部CTで肝内胆管の軽度拡張を認めたためERCPを施行したところ、原発性硬化性胆管炎に特徴的な所見を得た。その後はPSLを漸減し、UDCAの内服を継続して行っている。【結語】当初は臨床経過と血清学的所見より自己免疫性肝炎が強く疑われた。しかしながら治療抵抗性で、再度画像診断を行い、最終的にERCPで原発性硬化性胆管炎と診断できた症例を経験した。
索引用語 原発性硬化性胆管炎, 画像診断