セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研55:膵癌及び転移性肝腫瘍に伴うTrousseau症候群の一例 |
演者 | 小松 直広(佐世保中央病院消化器内視鏡科) |
共同演者 | 加茂 泰広(佐世保中央病院消化器内視鏡科), 武村 有祐(佐世保中央病院脳神経外科), 秋山 祖久(長崎大学病院消化器内科), 河野 良太(長崎大学病院消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科), 木下 昇(佐世保中央病院消化器内視鏡科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科) |
抄録 | はじめにTrousseau症候群は、悪性腫瘍に合併する血栓症や血液凝固異常伴う予後不良な病態として知られ、1985年Armand Trousseauが報告している。症例は79歳女性。夫婦間腎移植を受けられ、免疫抑制剤内服中であり、移植後22年経過している。腎移植後followの血液検査にて肝胆道系酵素及び総ビリルビンの上昇を認めた。腹部単純CTにて肝内胆管拡張、膵頭部・肝内の腫瘍性病変を認め、閉塞性黄疸の診断で同院消化器内科に緊急入院となった。閉塞性黄疸に対して緊急ERCP施行し、チューブステントを挿入された。その後腹部単純MRI施行したところ、膵鉤部にT2WIで淡い高信号を示す2cm大の腫瘍性病変が認められ、下部総胆管は狭窄していた。また肝両葉には多発する腫瘍性病変を認めた。以上から膵癌及び転移性肝腫瘍によって閉塞性黄疸をきたしたものと考えられた。御本人・御家族の希望により無治療で経過を診る方針となり、退院。その後は当院で経過観察されていたが、急な意識障害・左片麻痺で救急搬送された。頭部MRI施行したところ、DWIで右中大脳動脈領域に淡い高信号域を認めた。また右の内頸動脈から中大脳動脈の描出が不良であり、脳梗塞と診断された。脳梗塞に対してヘパリン・グリセオールを投与しながら経過を診ていたが、肝機能が増悪し、DIC傾向となった。その後もDICが改善せずに、死亡退院となった。Trousseau症候群は血液凝固異常をきたし本症例のように脳梗塞を発症する場合もある。また全ての消化管悪性腫瘍の中で膵癌は最も血栓塞栓症のリスクが高いものの一つとされ、DIC発症率は6%との報告もある。膵癌及び転移性肝腫瘍に伴うTrousseau症候群の一例を経験したので、若干の文献的考察を加え、報告する。 |
索引用語 | Trousseau症候群, 悪性腫瘍 |