セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研58:壊死性筋膜炎による敗血症を合併したAcute on chronic型急性肝不全の1例 |
演者 | 樺山 智子(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 | 小田 耕平(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 鶴岡 美穂(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 最勝寺 晶子(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 橋口 正史(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 熊谷 公太郎(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 呉 建(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 馬渡 誠一(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 眞(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学病院 消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 【はじめに】 壊死性筋膜炎は浅在筋膜およびその周囲組織に広範囲かつ進行性の壊死を引き起こし非常に予後が不良な比較的まれな細菌感染症である。今回、われわれは壊死性筋膜炎による敗血症を合併したAcute on chronic型急性肝不全の1例を経験したので若干の文献的考察も含め報告する。 【症例】 症例は45歳、女性。アルコール性肝硬変にて近医で不定期に通院加療されていた。2010年6月19日(第1病日)に黄疸に気付き近医受診、T-Bil 11.2mg/dlと上昇しており精査加療目的に入院となった。入院加療開始後もT-Bil 13.3mg/dlと増悪し、PT 24%、昏睡III度の肝性脳症が出現したためacute on chronic型急性肝不全と診断され 第3病日に当院へ転院となった。当院転院時の採血でWBC 42900/μl、CRP 10.12mg/dlと炎症反応高値であり、会陰部を中心に左大腿~腰背部にまで及ぶ広範な皮膚の発赤・壊死・膿瘍を認めた。壊死性筋膜炎とそれに伴う敗血症・多臓器不全と診断し、急性肝不全、DICの加療を行いつつ全身麻酔下でのデブリードマンを2回施行した。壊死性筋膜炎に対しては創洗浄と高気圧酸素療法を行いつつ、敗血症・多臓器不全に対してCHDFによる全身管理、抗菌薬・抗真菌薬投与を継続した。第37病日にはT-Bil 43.2mg/dlまで上昇したためビリルビン吸着療法を施行した。創部の感染は明らかな悪化は無かったが肝不全の改善が得られず第72病日に死亡した。 【結語】 壊死性筋膜炎による敗血症を合併したAcute on chronic型急性肝不全の1例を経験した。一般に壊死性筋膜炎はcompromised hostに発症することが多いとされており、文献的報告ではその死亡率は7~75%と現在でも死亡率の高い疾患である。生命予後は背景因子にも左右されるが、壊死性筋膜炎は急激に病態が進行し多臓器不全へと陥るため早期診断、治療が重要である。肝硬変や糖尿病などの基礎疾患を有する患者では本疾患を念頭に置き治療にあたる事が重要と考えられた。 |
索引用語 | 壊死性筋膜炎, 急性肝不全 |