セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研85:診断に難渋した高度の肝障害の一例 |
演者 | 日高 有香(福岡大学筑紫病院消化器科) |
共同演者 | 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院消化器科), 光安 智子(福岡大学筑紫病院消化器科), 野間 栄次郎(福岡大学筑紫病院消化器科), 川本 研一郎(福岡大学筑紫病院消化器科), 大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院消化器科), 馬場 崇徳(福岡大学筑紫病院消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器科), 田邉 寛(福岡大学筑紫病院消化器科), 原岡 誠司(福岡大学筑紫病院消化器科) |
抄録 | 症例は40代女性。うつ病、パニック障害、アルコール性肝障害で近医の心療内科に通院中であった。2010年中旬頃から食思不振と食欲低下があり、7月に全身の黄染を主訴に近医を受診した。肝胆道系酵素の上昇と腹部超音波検査にて肝脾腫大、CTにて脂肪肝を認め当科に紹介入院となった。採血にてHb 7.4g/dl、Plt 8.3/μl、PT 88%、T-bil 31.1mg/dl、AST 188U/L、ALT 67U/L、ALP 777U/L、γ-GTP 475U/L、TP 5.7g/dl、Alb 2.3g/dl、Na 135mmol/L、K 2.9mmol/L、TG 261mg/dlと著明な肝機能障害、低栄養と電解質異常を認めた。心療内科より多数の内服薬を処方されていたことから、薬剤性肝障害も念頭に肝生検を施行した。生検では90%以上の脂肪化と門脈域の軽度の炎症細胞浸潤を認めたが、薬剤性・自己免疫性肝疾患に特徴的な所見はなかった。また、投与されていた全薬剤に対してDLSTを行ったがすべて陰性で、自己抗体は抗核抗体40倍のみが軽度陽性であった。以上より内服薬をすべて中止し、肝庇護療法にて経過観察を行ったところ、約1ヶ月後に肝機能はほぼ正常化した。臨床経過ならびにDDW-J2004薬物性肝障害ワークショップスコアリングが5点であったことから、薬剤性肝障害を疑ったが、肝機能改善後の肝生検では、肝細胞脂肪化はzone3に優位で全体としては30%程度に改善し、pericellular fibrosisを認め、アルコール性肝炎に特徴的な変化であった。病歴が複雑であり、診断に苦慮した1例を経験したので、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 高度の肝障害, 肝生検 |