セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専21:

胆管癌との鑑別が困難であったIgG4関連硬化性胆管炎の1例

演者 井手上 純子(八代総合病院 消化器内科)
共同演者 本田 幸(八代総合病院 消化器内科), 奥田 彩子(八代総合病院 消化器内科), 浦田 昌幸(八代総合病院 消化器内科), 岡本 健宏(八代総合病院 消化器内科), 吉岡 律子(八代総合病院総合内科), 徳永 竜馬(熊本大学医学部付属病院消化器外科), 田中 洋(熊本大学医学部付属病院消化器外科), 高森 啓史(熊本大学医学部付属病院消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大学医学部付属病院消化器外科), 宮瀬 秀一(八代総合病院 消化器内科)
抄録 胆管癌との鑑別に苦慮した膵病変を伴わないIgG4関連硬化性胆管炎を経験したので報告する。症例は73歳男性。黄疸を主訴に当院を受診した。来院時気道狭窄音を認め精査の結果COPDと診断し加療を開始した。AST 278 IU/ml、ALT 214 IU/ml、T-Bil 6.3 mg/ml、D-Bil 4.0 mg/dl、ALP 3262 IU/l、γ-GTP 2451 IU/lと肝・胆道系酵素の上昇を認め、CA19-9が189 IU/mlと軽度上昇、CEA 3.1 ng/mlは正常範囲内であり、CRPも1.81mg/dlと軽度上昇を示すのみであった。腹部造影CTでは肝内胆管の拡張および胆嚢腫大を認めた。また、左右肝管合流部~胆嚢管付着部の胆管に濃染する腫瘤状の領域を認めた。まずERCPを行いERBDにて胆道ドレナージを施行した。ERCでは肝門部胆管に限局性狭窄を認め生検を施行するも明らかな悪性を疑う所見は認めなかった。PET-CTでは3管合流部付近にSUVmax=2.6の限局性の集積増加があり胆管癌が否定できなかった。再度施行した胆管生検により癌を疑った胆管壁内には軽度の核腫大を認めるのみで異型はなく、周囲間質に形質細胞を含む炎症細胞浸潤と線維化を認めた。IgG4関連硬化性胆管炎も考慮し追加で免疫染色を行なったところIgG4陽性細胞が混在していた。IgG 2962 mg/dl、IgG4 605 mg/dlと高値であり、最終的にIgG4関連硬化性胆管炎と診断した。経過中膵には明らかな自己免疫性膵炎を疑う所見を認めなかった。治療としてERBD を留置したままステロイドの内服を開始した。IgG4関連硬化性胆管炎に関して文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆管狭窄, IgG4