セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研78:

慢性化をきたしたgenotype C B型急性肝炎の一例

演者 吉村 誠一郎(大分県立病院 消化器内科)
共同演者 庄野 真由美(大分県立病院 消化器内科), 日野 瑛太(大分県立病院 消化器内科), 河野 良太(大分県立病院 消化器内科), 吉村 映美(大分県立病院 消化器内科), 阿南 香那子(大分県立病院 消化器内科), 高木 崇(大分県立病院 消化器内科), 藤本 真澄(大分県立病院 消化器内科), 西村 大介(大分県立病院 消化器内科), 加藤 有史(大分県立病院 消化器内科)
抄録 【症例】40歳 男性
【主訴】なし
【既往歴】特記事項なし、輸血歴なし
【生活歴】飲酒:機会飲酒、喫煙:20本/日、海外渡航歴なし、刺青なし
【家族歴】肝疾患なし
【現病歴】生来健康。16歳頃より定期的に献血を受けており、平成21年2月23日の献血時まで異常は指摘されていなかった。同年3月18日に献血を行った際、HBV-DNA陽性を指摘されたため、4月3日に当科を初診した。
【現症】vital signに異常なし、貧血なし、黄疸なし。胸部:異常所見なし。腹部:平坦軟、圧痛なし、肝脾を触知せず、腹水貯留なし。下腿浮腫なし。神経学的所見:異常所見なし。
【初診時検査所見】WBC 8500/μl、RBC 506×104/μL、Hb 15.7g/dL、Ht 46.0%、Plt 28.2×104/μL、PT 127%、TP 6.7g/dL、Alb 4.2g/dL、T.Bil 0.3mg/dL、AST 17IU/L、ALT 19IU/L、LDH 138IU/L、ALP 205IU/L、γ-GTP 30IU/L、ZTT 8.2KU、腎機能異常なし、電解質異常なし、HBs-Ag +、HBs-Ab -、HBe-Ag ±、HBe-Ab -、HBc-Ab -、IgM-HBc -、HBV-DNA 5.1logcopy/mL、HBV-genotype C、HCV-Ab -
【臨床経過】初めてHBV-DNA陽性を指摘された平成21年3月の献血時点では、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体は陰性であった。当科初診時にHBs抗原は陽性化しており、HBV-DNA陽性であることからHBV初感染の潜伏期と診断した。HBV-genotypeはCであった。その後、HBV-DNAの上昇およびHBe抗原陽性化とともにトランスアミナーゼは上昇し、HBV-DNA陽性化6カ月後の9月8日にはAST 116、ALT 247、IgM-HBc抗体も3.09と陽性となった。B型急性肝炎と診断し劇症化に留意しながら経過観察を続けた。肝炎発症6カ月後の平成22年2月15日には、AST 25、ALT 44とトランスアミナーゼは低下したが、HBs-Ag +、HBe-Ag +、HBV-DNA 9.0logcopy/mLと高ウイルス量が検出され、慢性化と診断した。
【考察】B型急性肝炎の慢性化は1%程度であるが、近年HBV genotype Aによる急性肝炎が増加しており、高い慢性化率が報告されている。genotype CによるB型急性肝炎、慢性化はまれと考えられたため、考察の上報告する。
索引用語 HBV, ゲノタイプ