セッション情報 |
パネルディスカッション14(消化器病学会・肝臓学会合同)
急性肝不全:新たな定義とこれに準拠した診療の展望
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タイトル |
肝PD14-9:新たな診断基準に基づく急性肝不全に対する人工肝補助療法施行例の検討
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演者 |
山際 訓(新潟大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
佐藤 好信(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 青柳 豊(新潟大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】当科で経験した急性肝不全例について、新たな診断基準に基づいた再分類をおこなうとともに、重症例である人工肝補助療法施行例について検討した。【方法】2004年1月から2011年12月までに当科で人工肝補助療法が施行された急性肝不全26例について、成因、臨床経過、人工肝補助療法を中心とした治療、予後、予後に関与する因子などを検討した。【成績】新たな分類による昏睡型急性肝不全急性型7例(M:F = 6:6、48.6±11.4歳)、昏睡型急性肝不全亜急性型14例(M:F = 6:8、52.2±15.0歳)、非昏睡型急性肝不全4例(M:F = 4:1、39.8±19.1歳)と遅発性肝不全1例(M、54歳)に対し血漿交換(PE)あるいは持続的血液濾過透析(CHDF)が施行された。成因はB型肝炎8例、薬物性6例、自己免疫性肝炎4例、原因不明6例、Wilson病1例、門脈血栓症1例であった。昏睡型急性型に対しては平均3.4回(1-10)のPEと3例にCHDFが施行されたものの死亡率は57.1%(4/7)、肝移植施行率37.5%(3/7、移植後死亡1例)であり内科的救命例は1例(14.2%)のみであった。昏睡型亜急性型も平均5.8回(1-13)のPEと9 例にCHDFが施行されたものの死亡率57.1%(8/14)、肝移植施行は50%(7/14、移植後死亡2例)であり内科的救命例は1例(7.1%)のみであった。昏睡型で他院から搬送後に移植・救命された8例の他院入院から搬送までは平均8.2日(1-22)であったのに対し、死亡例7例は平均21.2日(1-53)と有意に長期であった。【結論】当院でも2011年には昏睡型2例に対し脳死肝移植が実施されるなど、急性肝不全に対する肝移植の機会は増える可能性があるが、肝移植を目的に搬送されたものの他臓器の活動性感染症などで適応外になる症例の予後は不良であり、当科における内科的救命率の低下につながっていると考えられた。急性肝不全に対しては予知・搬送・専門施設での管理が重要であるが、人工肝補助療法を要する昏睡型重症例に対しては、専門施設での管理によっても肝移植以外は予後改善につながっていない可能性がある。 |
索引用語 |
急性肝不全, 人工肝補助 |