セッション情報 特別企画1「これからを担う消化器専門医の育成:われわれの取り組みと課題-内科系の立場から-」

タイトル SP1-04:

これからを担う消化器専門医の育成:われわれの取り組みと課題-内科系の立場から-

演者 神代 龍吉(久留米大学消化器内科DELIMITER久留米大学医学教育学)
共同演者 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【目的】消化器専門医の育成に必要な取り組みと課題を明らかにする。
【方法】消化器専門医の訓練の現状を振り返り、今後の課題を探る。
【成績】1.消化器専門医に必要な要件は以下のものと思われた。1)消化器疾患理解のため栄養(絶食を含む)・消化・異化・排泄に関する理解。2)消化管出血など緊急を要する病態に対応し、その予後を早期に判断できる。3)消化器疾患で用いる薬物(自律神経系作用薬、全身反応を惹起する薬物、免疫抑制剤、抗癌剤等)の作用と副作用、薬物相互作用、全身作用に精通しておく。4)疾患に特有な病態に基づく薬物療法や肝機能低下例での薬物選択ができる。5)外科治療との関連において内科治療を計画できる。6)消化器疾患における公的な扶助制度に精通し、患者の利益に供する。7)予防医学の立場から消化器疾患を理解できる。
2.本学消化器内科での取り組みは以下の通りである。1)消化器疾患を全身との関連でとらえるため全身の所見を述べさる。2)肝疾患と胆膵・消化管を4カ月ずつ、血液内科と救命救急センターも3ヶ月ずつ回る。3)栄養学を重要なテーマとし、NST回診を行い、分岐鎖アミノ酸、肝不全食などを実際に処方させる。4)専門別および外科カンファランスへの参加、抄読会への参加を奨励している。5)各種検査、肝生検、患者への説明、診断書等の下書きを3年目に取り入れている。6)文献検索と年1回以上の学会発表を義務としている。
3.課題は以下のものと考えた。1)初期臨床研修と後期臨床研修を差別化して、屋根瓦方式にする必要がある。2)医師の態度に関する教育および将来的の指導医を育成する長期的なプログラムが必要。3)新しい消化器疾患治療のための研究心を育成する必要がある。
【結論】消化器疾患の専門医を育成するにあたり、教育システムの構築、指導者の養成、研究心の涵養が必要と思われる。
索引用語 消化器内科, 専門医