セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
129:ボルデゾミブ投与後にde novo B型肝炎を発症した多発性骨髄腫の1例
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演者 |
具嶋 里香(国立病院機構熊本医療センター 消化器内科) |
共同演者 |
吉成 元宏(国立病院機構熊本医療センター 消化器内科), 尾上 公浩(国立病院機構熊本医療センター 消化器内科), 中田 成紀(国立病院機構熊本医療センター 消化器内科), 前田 和弘(国立病院機構熊本医療センター 消化器内科), 杉 和洋(国立病院機構熊本医療センター 消化器内科), 武本 重毅(血液内科) |
抄録 |
【症例】59歳男性【既往歴】多発性骨髄腫、慢性腎不全、高血圧【現病歴】平成17年に多発性骨髄腫の診断を受け、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメサゾン)療法、平成18年4月中旬に当院血液内科で自己末梢血幹細胞移植を施行された。以後、骨髄腫再燃に対して平成21年2月下旬よりボルデゾミブ(商品名:ベルケイド)投与開始となった。その後、下肢末梢感覚異常を認め、ボルデゾミブとの因果関係も否定できず9月で終了となった。平成22年1月より軽度肝機能異常を認め、2月上旬には急激な肝逸脱酵素の上昇を認めたため、当科紹介となった【血液検査結果】AST 483IU/l ALT 1069IU/l LDH 461IU/l ALP 484IU/l γ-GTP 127IU/l T-BI 1.1mg/dl BUN 32mg/dl Crea 3.03mg/dl Alb 4.4g/dl Plt 20.7万/ul HBsAg(+) HBsAb(-) HBeAg(+) IgM HBc抗体(+) HBV-DNA 6.8LogIU/ml HCV抗体(-) また、平成21年2月の保存血清ではHBsAg(-) HBcAb(+) HBsAb(+)であることからHBV再活性化と診断した。【経過】入院日よりエンテカビル(ETV)の内服とSNMC 100ml投与を開始した。腎不全があり、ETV投与量は3日に1回0.5gとなったが、腎機能の増悪なく、2月下旬HBeAg(+)だが、抗体価は減少、肝逸脱酵素も順調に低下し退院となった。以後も外来で経過観察中であるが、8月上旬にはHBV-DNA量は検出感度以下で、肝逸脱酵素は正常化している。【考察】本症例ではVAD療法中は肝逸脱酵素の増悪はなく、ボルデゾミブ投与開始11カ月目で肝逸脱酵素の上昇を認めた。免疫・化学療法の進歩とあいまってde novo B型肝炎対策が重要視されている。本症例は経過よりボルデゾミブとの関連が強く疑われたが、検索しえた限り、同薬投与後のde novo B型肝炎の発症はこれまで報告がなく、今後更なる症例の検討が必要と思われた。 |
索引用語 |
de novo B型肝炎, ボルデゾミブ |