セッション情報 一般演題

タイトル 99:

腹腔内デスモイド腫瘍の1例

演者 中村 典資(原三信病院 消化器科)
共同演者 深浦 啓太(原三信病院 消化器科), 仁保 宏二郎(原三信病院 消化器科), 瀧澤 延喜(原三信病院 消化器科), 山田 隆史(原三信病院 消化器科), 茶圓 智人(原三信病院 消化器科), 兼城 三由紀(原三信病院 消化器科), 松坂 浩史(原三信病院 消化器科), 永瀬 章二(原三信病院 消化器科), 千々岩 芳春(原三信病院 消化器科), 廣田 伊千夫(同院 外科), 河野 眞司(同院 臨床病理部), 永野 喜信(永野病院), 中村 和彦(九州大学大学院 病態制御内科)
抄録 症例は63歳男性.既往に虫垂切除歴あり.家族歴に特記事項無し.高血圧,高脂血症,胆石にて永野病院通院加療中.2010年4月14日の腹部エコー検査にて臍右部に腫瘤を指摘.CT撮影したところ,横行結腸近傍に約5cm大の球形の充実性腫瘤を確認し,精査加療依頼で17日当科紹介となった.腹部造影CTにて,臍レベルの腹腔内、やや右側に,長径45mm大の境界明瞭で内部比較的均一な,造影にて徐々に均一に増強される腫瘤を認め,横行結腸との連続が疑われた.21日下部消化管内視鏡検査を行ったところ,横行結腸に巨大なSMT(粘膜下腫瘍)を認め,cushion signは陰性,表面にびらんを呈していた.超音波内視鏡検査では,腫瘍は第4層に連続し,管腔外に優位に存在し,かつ管腔内にも突出する,内部均一な低エコー腫瘤として存在していたが,深部減衰により中心部付近の状況は不明であった.びらんからの生検では組織学的診断に至らなかったが,横行結腸GISTを第一に考え,6月4日腹腔鏡補助下横行結腸切除術を予定した.術中所見では横行結腸正中やや右寄りに鶏卵大の腫瘤あり,後壁は小腸間膜に浸潤していた.小腸間膜内の血管までは浸潤無く剥離可能であり,横行結腸切除,小腸間膜切除を行った. 切除標本では5×5×4cm大の弾性硬の黄白色調の境界明瞭な腫瘤であり,結腸壁内,壁外に存在,小腸間膜に連続していた.組織学的には,増生した膠原繊維の中に核分裂に乏しい線維芽細胞が散在して見られ, c-kit, CD34, desmin, S100など免疫染色は陰性で,デスモイド腫瘍と診断した.腹腔内デスモイド腫瘍は,腹部手術歴のある患者や家族性大腸腺腫症に合併することで知られる稀な腫瘍であり,若干の文献的考察を踏まえ報告する.
索引用語 デスモイド, 粘膜下腫瘍