セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研62:胆管と交通を認めた巨大感染性肝嚢胞の一例 |
演者 | 小嶌 智美(鹿児島市立病院消化器科) |
共同演者 | 豊倉 恵理子(鹿児島市立病院消化器科), 福 祐貴(鹿児島市立病院消化器科), 大野 香織(鹿児島市立病院消化器科), 前田 英仁(鹿児島市立病院消化器科), 香月 稔史(鹿児島市立病院消化器科), 吉永 英希(鹿児島市立病院消化器科), 桜井 一宏(鹿児島市立病院消化器科), 堀 剛(鹿児島市立病院消化器科), 美園 俊明(鹿児島市立病院消化器科), 井戸 章雄(鹿児島大学医学部消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学医学部消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 【はじめに】肝嚢胞は通常無症状に経過し、治療の対象となることは少ない。しかし、嚢胞が巨大化し他臓器を圧排した場合や、感染や出血を合併した場合には治療が必要となる。感染性肝嚢胞の報告は少ないが、今回我々は、経過観察中の肝嚢胞に感染をきたし、経皮経肝ドレナージ、肝切除術を施行した一例を経験したので報告する。【症例】74歳女性、10年前より肝嚢胞を指摘されていたが症状なく経過観察とされていた。平成22年5月転倒右大腿骨頸部骨折のため当院整形外科に入院中CRP高値、低アルブミン血症を認め、肝嚢胞による腹腔内臓器圧排が食欲低下、低栄養状態の原因と考えられ、肝嚢胞に対する加療目的にて当科転科となった。肝左葉を占拠する最大径18.5cmの巨大肝嚢胞に対して経皮経肝ドレナージを施行した。嚢胞内液は混濁しており、嚢胞内感染が疑われたため、ドレーン留置しIPM/CS投与と生食による洗浄を開始した。嚢胞内液培養ではKlebsiellaが検出された。次第に嚢胞内液が黄緑色透明に変化し、炎症所見、低アルブミン血症は改善し、嚢胞は著名に縮小したものの、嚢胞造影にて嚢胞と肝内胆管との交通が認められたため、内科的な根治は困難と判断し、肝左葉切除術施行となった。【考察】感染性肝嚢胞は、肝嚢胞内部に感染が引き起こされた疾患で、嚢胞への感染経路としては、胆道系、門脈系、血行性、近隣感染巣からの直接波及、外傷性などがあげられている。本症例は、入院後のMRCPにて左の肝内胆管の拡張を認め、さらに嚢胞造影にて同胆管への造影剤の流出を認めており、胆管からのklebsiellaによる逆行性感染が肝嚢胞への感染経路と考えられた。肝嚢胞においては感染性肝嚢胞を発症する可能性も考慮して経過観察しなければならないと考えられた。【結論】肝嚢胞の経過中に胆管よりklebsiellaによる逆行性の感染をきたしたと考えられた巨大性肝嚢胞の一例を経験した。 |
索引用語 | 肝嚢胞, 感染 |