セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 127:ステロイド自己中断により劇症肝炎を呈した自己免疫性肝炎の1例 |
演者 | 内田 信二郎(佐世保市立総合病院) |
共同演者 | 上条 将史(佐世保市立総合病院), 大石 敬之(佐世保市立総合病院), 角川 淑子(佐世保市立総合病院), 福田 英一郎(佐世保市立総合病院), 山尾 拓史(佐世保市立総合病院), 小田 英俊(佐世保市立総合病院), 岩崎 啓介(佐世保市立総合病院) |
抄録 | 【はじめに】自己免疫性肝炎は適切な治療が行われれば10年生存率90%以上と予後良好であるが、頻度は少ないものの劇症化例や末期肝不全例は他の肝基礎疾患例に比べて予後が不良であることが知られている。今回我々はステロイド内服にてコントロール良好であったにもかかわらず内服自己中断にて劇症肝炎を呈し、その後急速な転帰をたどった症例を経験したため報告する。【症例】76才、女性【主訴】全身倦怠感【現病歴】2010年3月中旬より全身倦怠感自覚し近医受診。採血にて肝機能上昇と黄疸を認め、精査加療目的で4/2当科紹介入院となった。【経過1】CTにて明らかな閉塞機転認めないこと、採血にて抗核抗体10240倍、IgG 2760mg/dl、γグロブリン高値であることやスコアリング等から自己免疫性肝炎を強く疑い、PT 60%、T-bil 3.0mg/dlと予備能低下もあり早急にステロイド治療を開始した。全身状態、採血結果共に改善傾向となりプレドニゾロン20mgまで漸減し内服継続の重要性を説明した後5/6退院、以後外来フォローとした。【経過2】退院翌週の外来を最後に受診なく同時期よりプレドニゾロンを自己中断。5月下旬より全身倦怠感出現。近医受診し経過をみられていたが、全身状態不良とのことで7月初旬当院へ緊急搬送され2回目入院となった。搬送時JCS200、羽ばたき振戦あり、採血にてT-bil 22.5mg/dl、Alb 2.2g/dl、PT 16.6%、アンモニア 167μg/mlと肝予備能の著明な増悪を認め、劇症肝炎と診断した。血漿交換、血液濾過、GI療法等施行するも改善なく、肝移植も条件整わず断念した。腹部CTにおいても肝萎縮が急速に進行し7月中旬永眠された。家族の了承を得て病理解剖を行なった(現時点では最終結果はまだでていない)。【考察】ステロイドの自己休薬による自己免疫性肝炎の再燃は度々みうけられる。しかし本症例のように劇症化し不幸な転帰をたどることもあるため、維持量のステロイドを内服し続けることの重要性を再認識した。 |
索引用語 | 自己免疫性肝炎, 劇症肝炎 |