セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研91:

肝アミロイドーシスにて発症し、急激な経過をたどった一例

演者 大石 敬之(佐世保市立総合病院)
共同演者 内田 信二郎(佐世保市立総合病院), 角川 淑子(佐世保市立総合病院), 福田 英一郎(佐世保市立総合病院), 山尾 拓史(佐世保市立総合病院), 小田 英俊(佐世保市立総合病院), 岩崎 啓介(佐世保市立総合病院)
抄録 【はじめに】全身性アミロイドーシスは非常に稀な疾患であるが、有効な治療法は確立されておらず予後不良とされている。また症例によってアミロイドが主に沈着する臓器が違い出現する症状も様々である。今回われわれは肝アミロイドーシスにて発症し、急激な経過をたどった一例を経験したので、若干の文献的考察を交えて報告する。【症例】69歳女性。2年前より慢性腎不全で人工透析中。2010年1月の血液検査でALP、γ-GTPの上昇をみとめたため、近医消化器内科に紹介。精査行われたが確定診断に至らず、黄疸の増悪を認めたため当科紹介入院となった。入院時の血液検査で総ビリルビン9.9mg/dl、直接ビリルビン8.4mg/dl、ALP761IU/L、γ-GTP104IU/L、AST85IU/L、ALT54IU/L、PT65.3%と直接ビリルビン優位の黄疸と胆道系酵素優位の肝機能異常を認めた。CTでは肝内胆管および肝外胆管の拡張は認められず、前医のMRCPでも特異的な異常は認められなかった。よって確定診断の目的で肝生検を行ったところ、肝アミロイドーシスが強く疑われた。治療法について生体肝移植を検討していたが、5月上旬より血圧低下を認め、6月中旬に突然著明な洞徐脈が出現し、第53病日目に心停止となった。その後御家族の了承を得て病理解剖を行った。現時点では最終診断はでていないが、肉眼所見では心筋を含め全身へのアミロイドの沈着が疑われた。【考察】本症例は心アミロイドーシスの進行にて移植による予後の改善は難しかったと思われるが、これまでに肝アミロイドーシスによる肝不全に対して肝移植を施行し救命された症例が3例報告されている。臓器移植法が改訂され脳死肝移植が本邦でも比較的可能となり、将来的に肝アミロイドーシスに対して肝移植を積極的に検討することが予想され、今後同様な疾患の治療方針を決定する上で貴重な症例と思われ報告する。
索引用語 アミロイドーシス, 肝移植