セッション情報 一般演題

タイトル 94:

潰瘍性大腸炎に合併した壊疽性膿皮症に対して白血球除去療法と全結腸直腸切除術が有効であった一例

演者 松山 桃子(熊本赤十字病院)
共同演者 北田 英貴(熊本赤十字病院), 山邊 聡(熊本赤十字病院), 泉 良寛(熊本赤十字病院), 溝部 典生(熊本赤十字病院), 小林 起秋(熊本赤十字病院), 石田 隼一(熊本赤十字病院), 浦田 孝広(熊本赤十字病院), 吉永 秀哉(熊本赤十字病院), 竹熊 与志(熊本赤十字病院), 北田 英貴(熊本赤十字病院), 一二三 倫郎(熊本赤十字病院)
抄録 潰瘍性大腸炎に合併した壊疽性膿皮症に対して白血球除去療法と全結腸直腸切除術が有効であった一例熊本赤十字病院消化器科1)松山桃子1)、北田英貴1)、山邊聡1)、泉良寛1)、小林起秋1)、溝部典生1)、石田準一1)、浦田孝広1)、吉永秀哉1)、竹熊与志1)、一二三 倫郎1)症例は19歳男性.平成16年に全結腸型潰瘍性大腸炎を発症し,コントロールのためステロイド剤の継続使用,アザチオプリンの併用を行っていた.平成20年12月初旬より顔面と左下腿に有痛性硬結が出現し,皮膚科を受診し抗生剤投与を受けた.皮疹は背部や腰部へも拡大し,排膿を伴うようになったため当院消化器科を受診された.受診時39度の発熱,顔面と左下腿に皮下膿瘍と潰瘍を認めた.下痢,下血を認め,入院時潰瘍性大腸炎の重症度は中等症であった.左下腿の病変の病理組織所見は真皮から皮下組織にかけての高度な炎症細胞浸潤であり,組織標本にて細菌は認めず,皮下膿瘍部の細菌培養は陰性であった点から,潰瘍性大腸炎に伴う壊疽性膿皮症と診断した.12月13日より白血球除去療法を行ったところ解熱し,壊疽性膿皮症は改善傾向を認めた.腹部症状は軽度の改善を認めるも,プレドニン換算総ステロイド量は20,000mgを超えており,手術の方針とし,全結腸直腸切除・人工肛門造設術を施行した.術後1週後には上皮化が出現し,約2ヵ月後には上皮化した.壊疽性膿皮症は,急速に進行する有痛性の潰瘍性病変で,副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤等の薬剤へ抵抗性を示す難治例もある.難治性壊疽性膿皮症に対して白血球除去療法や大腸切除術が有用な治療として報告されている.今回,潰瘍性大腸炎に合併した壊疽性膿皮症に対して白血球除去療法及び大腸切除術を施行し,有効であった1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 壊疽性膿皮症