セッション情報 特別企画1「これからを担う消化器専門医の育成:われわれの取り組みと課題-内科系の立場から-」

タイトル SP1-11:

消化器病学にいかに興味をもつか―卒前・卒後医学教育を通したハンズオンセミナー

演者 江口 有一郎(佐賀大学 医学部 附属病院 総合診療部)
共同演者 水田 敏彦(佐賀大学 医学部 内科学), 岩切 龍一(佐賀大学 医学部 内科学), 小田 康友(佐賀大学 医学部 地域包括医療教育部門), 酒見 隆信(佐賀大学 医学部 地域包括医療教育部門), 吉田 和代(佐賀大学 医学部 附属病院 卒後臨床研修センター), 江村 正(佐賀大学 医学部 附属病院 卒後臨床研修センター), 松島 俊夫(佐賀大学 医学部 附属病院 卒後臨床研修センター), 小泉 俊三(佐賀大学 医学部 附属病院 総合診療部DELIMITER佐賀大学 医学部 附属病院 卒後臨床研修センター), 藤本 一眞(佐賀大学 医学部 内科学), 宮崎 耕治(佐賀大学 医学部 附属病院)
抄録 【背景】現行の臨床研修制度では、消化器専門医の育成に先立ち、消化器病学を専攻する医師の確保が重要である。当大学は、当大学卒業後、当院で初期研修を行う医師が半数以上を占める特徴を生かして卒前教育及び卒後の一貫した教育システムによる各専門診療科の医師の育成に取り組んでいるが、専門診療科に対して「いかに興味をもつか」という動機付けとその持続が重要となる。その中で消化器病学を専攻するための工夫を紹介する。【取り組み】「ハンズオン」による動機付け:卒前教育を統括する地域包括医療教育部門の主催で専門医により毎月1回、医学部学生だけではなく敢えて職種を限定せず、一回に5名の予約制とし、大学1年生からレベルに応じた内容で腹部エコーシミュレーターを用いた入門講座を実施している。また5年次の病棟実習では全員に対してグループごとに内視鏡シミュレーターによる上部・下部内視鏡の実習、希望者への内視鏡体験、学生同士での腹部エコー実習を行っている。卒後教育では卒後臨床研修センター主催での専門医によるシミュレーターと相互による腹部エコーイブニングセミナーを行い、病棟での日常業務に追われる初期研修中の研修医や他科の医師への知識・医療技能向上を目指している。【結果】「ハンズオンセミナー」は現在までに初期・後期研修医、他科の医師、医学部学生のみならず、大学院生、法医学講座、院内のコメディカルスタッフ、薬学部からの研修生、さらにハワイ大学の学生らも受講しており、動機付けには有用である。また手技の講習に留まらず、疾患、病態生理に関するレクチャーも併せて行い、受講後のアンケートでは、実習に対する良好な満足度と技能向上に対する意欲が得られている。卒前・卒後いずれも年度内の受講定員を満たしており、関心の深さが伺える。【課題】消化器内視鏡や腹部超音波検査体験を通した消化器病学への関心は高い。しかし検査手技はあくまで消化器病学での習得事項のごく一部の分野に過ぎず、大学の特徴を活用した消化器病学一貫教育プログラムを構築させなければならない。
索引用語 消化器内視鏡, 腹部超音波検査