セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研90:C型慢性肝炎に対するペグインターフェロンα-2b治療中に、1型糖尿病とバセドウ病を同時発症した一例 |
演者 | 島 ゆかり(聖マリア病院) |
共同演者 | 伊藤 陽平(聖マリア病院), 平田 和之(聖マリア病院), 上野 恵里奈(聖マリア病院), 近藤 礼一郎(聖マリア病院), 清水 義久(聖マリア病院), 岡村 修祐(聖マリア病院), 住江 博明(聖マリア病院), 吉貝 浩史(聖マリア病院), 酒井 輝文(聖マリア病院) |
抄録 | 【背景】C型慢性肝炎に対するPEG-INF α-2b治療中に、1型糖尿病とバセドウ病を同時発症した一例を経験したので報告する。【症例】55歳 女性○主訴:全身倦怠感、口渇感、発熱○既往歴:胞状奇体(輸血歴あり) 、左乳腺炎手術、大腸ポリープ摘出○現病歴:H20年11月 慢性C型肝炎(1型 high)に対しIFNα-2bとリバビリン内服にて加療中であった。第30クール目にウイルスの消失を認め、引き続き第48クールまで投与予定であった。第41クールまで終了し、投与3日目のH21年9月某日に全身倦怠感を主訴に来院。血液検査で著明な高血糖(1028mg/dl)、動脈ガス分析でpH 7.14とアシドーシスを呈し、尿中ケトンの出現を認めたため糖尿病性ケトアシドーシスと診断し、同日緊急入院となった。【来院後経過】上記主訴で来院。糖尿病の既往なく第40クールまで血糖100前後で推移していたが、来院時血液検査にて血糖1028mg/dlと異常な上昇が見られた。精査にて、尿中C-ペプチド3.6mcg/day と著明な低下が見られ、負荷血中C-ペプチドは負荷後60分、120分共に、<0.2ng/mlと上昇なく、C/G比は著明な上昇を認めインスリン分泌能の低下を示す所見であった。IFNからの自己抗体発現による1型糖尿病を疑い抗GAD抗体を測定したところ、6800U/ml、抗IA-2抗体0.7U/mlと異常高値を示した。またTSH低下、free-T3 free-T4上昇を認め甲状腺機能異常を示した。同機序によるバセドウ病を疑い抗サイログロブリン抗体、TSH受容体抗体を測定したところ、10.8U/ml、19.7%と上昇し、甲状腺シンチで甲状腺に集積を認めバセドウ病の診断となった。【結語】 IFNには抗ウイルス作用のほか、細胞障害性T細胞への促進作用、MHC抗原の発現増強、サイトカイン誘導など免疫系への作用が考えられており、IFNとリバビリン併用療法においてWegener肉芽腫やSLE、1型糖尿病を発症した症例が認められている。IFN投与前は自己抗体の評価を行い、治療開始後は定期的に血糖値、甲状腺ホルモンおよび自己抗体の測定を行うことが望ましいと考える。 |
索引用語 | インターフェロン, 自己免疫疾患 |