セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研12:無症状穿孔を合併したクローン病の1例 |
演者 | 萱嶋 善行(福岡大学医学部消化器内科) |
共同演者 | 冨岡 禎隆(福岡大学医学部消化器内科), 石橋 英樹(福岡大学医学部消化器内科), 塚本 真仁(福岡大学医学部消化器内科), 坂 暁子(福岡大学医学部消化器内科), 縄田 智子(福岡大学医学部消化器内科), 志賀 洋(福岡大学医学部消化器内科), 船越 禎広(福岡大学医学部消化器内科), 渡邉 隆(福岡大学医学部消化器内科), 佛坂 学(福岡大学医学部消化器内科), 山口 真三志(福岡大学医学部消化器内科), 江口 浩一(福岡大学医学部消化器内科), 青柳 邦彦(福岡大学医学部消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学医学部消化器内科), 二村 聡(福岡大学医学部病理), 松岡 信秀(福岡大学医学部消化器外科) |
抄録 | 症例は20歳代の男性。18歳時に近医で小腸大腸型クローン病と診断され、メサラジン内服および経腸栄養で加療されていた。2010年6月初旬より、下痢、腹部膨満感出現。6月24日、近医にて大腸内視鏡を行ったところS状結腸、下行結腸、横行結腸に著明な腸管短縮、管腔の狭小化を伴った縦走潰瘍、敷石像を認めた。また、上行結腸は著明に狭窄しておりスコープの通過は困難であった。その後、腹部膨満感が増悪したため精査加療目的で7月12日当科紹介入院となった。当科入院時、腹痛、発熱なし。診察所見では腹部はやや膨満していたが腹壁は軟で腹膜刺激症状は認めなかった。血液検査ではWBC 7400/μlと正常範囲内、CRP 1.39mg/dlと炎症所見は軽度であった。しかし、胸部レントゲン検査でfree airを認めたため、腹部造影CT検査を施行したところfree airと右下腹部に膿瘍を認めた。そのため消化管穿孔と診断し、緊急開腹手術を行った。開腹所見では腹水は比較的清明で、回腸末端部から1cmの回腸・30cmの回腸・上行結腸の間で内瘻を形成し、同部に膿瘍を形成していた。そのため、腹腔内洗浄、小腸部分切除術、回盲部切除術、人工肛門造設術を行い、その後は経過良好である。今回、多量のfree airを認めたにもかかわらず、腹膜炎症状に乏しかった消化管穿孔の理由としては、当初は回腸―大腸内瘻化+膿瘍形成のみであったが、大腸内視鏡時の送気で空気のみが多量に腹腔内に漏出したものの、便汁漏出はごく少量のみであったためと考えられた。無症状消化管穿孔は、消化性潰瘍や腸管気腫性嚢胞症などでも報告されているが、クローン病では比較的稀であり、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | クローン病, 穿孔 |