セッション情報 ワークショップ2「B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策」

タイトル WS1-06:

当院におけるde novo B型肝炎例の検討

演者 柴田 大介(琉球大学医学部第一内科)
共同演者 星野 訓一(琉球大学医学部第一内科), 圓若 修一(琉球大学医学部第一内科), 新垣 伸吾(琉球大学医学部第一内科), 山城 剛(琉球大学医学部第一内科), 前城 達次(琉球大学医学部第一内科), 藤田 次郎(琉球大学医学部第一内科), 金城 福則(琉球大学光学医療診療部), 佐久川 廣(ハートライフ病院)
抄録 【目的】近年、免疫抑制剤や化学療法によるB型肝炎の再活性化が問題となっており、特にHBs抗原陰性の既感染者が臓器移植、造血幹細胞移植、リツキシマブなどを含む化学療法を施行された際発症するde novo B型肝炎は致死率が高く注意が必要である.今回我々は当院で経験した4例のde novo B型肝炎についてその臨床像から可能な対策に関して検討した。【対象】当院にて過去にHBs抗原陰性が確認され現疾患治療後にHBs抗原陽性、HBVDNA陽性、肝機能障害が出現した4例。【結果】1例目は28歳女性。急性骨髄性白血病で同種末梢血幹細胞移植を受け10ヶ月後に肝障害が認められた。発症時ALTは2376 IU/l, HBV-DNA 7.2 LGE/mlであった。2例目は53歳男性。悪性リンパ腫でCHOP療法後自家末梢血幹細胞移植を受け4ヶ月後に肝障害が出現した。発症時ALTは209 IU/l, HBV-DNA 7.6 LGE/mlであった。3例目は60歳男性。R-CHOP療法7クール終了後から7週間後に肝障害が出現した。発症時ALTは75 IU/l, HBV-DNA >9.1 logcopy/mlであった。4例目は51歳男性。悪性リンパ腫でR-hyper CVAD/R-MA療法2コース後6週間後に肝障害が認められた。発症時ALTは344 IU/l, HBV-DNA >9.1 logcopy/mlであった。1, 2例目は診断後すみやかにラミブジン投与し救命し得た。死亡した2例では核酸アナログ投与直前のHBV-DNAは測定感度以上と高値であったが、transaminaseは非常に高値ではなかった。その時点でエンテカビルを投与したにも関わらずHBV-DNAは十分な減少が得られず最終的には救命できなかった。【考察と結論】既報と同様、当院においても末梢血幹細胞移植、リツキシマブ及びステロイドを含む化学療法がde novo B型肝炎発症の危険群と考えられ、さらにリツキシマブを含む化学療法による肝炎の予後が非常に悪いことも経験した。今回の経験から特にリツキシマブを使用したde novo B型肝炎の場合、その致命率の高さとともに治療介入の時期が非常に重要になると考えられ、結果的には肝炎発症前から厳重な経過観察を行い核酸アナログを含む治療介入が遅れないような対策をとることが重要と考えられた。
索引用語 B型肝炎, 再活性化