セッション情報 一般演題

タイトル 164:

放射線化学療法中に仮性動脈瘤からの激しい消化管への出血がみられた、嚢胞を伴う膵癌の一例

演者 藤本  優(佐賀県立病院好生館肝胆膵内科)
共同演者 山田 康貴(佐賀県立病院好生館内科), 柴山 優(佐賀県立病院好生館内科), 蒲池 沙央里(佐賀県立病院好生館内科), 中下 俊哉(佐賀県立病院好生館肝胆膵内科), 秋山 巧(佐賀県立病院好生館肝胆膵内科), 川添 聖治(佐賀県立病院好生館肝胆膵内科)
抄録  嚢胞を伴うStageIVaの膵臓癌に対する放射線化学療法中に嚢胞内の仮性動脈瘤の破綻により、十二指腸に多量の出血をきたした一例を経験したため報告する。症例)66歳 女性 現病歴)糖尿病で通院中に全身倦怠感・体重減少みられ、腹部造影CT検査にて、膵頭部に径71×45mmの充実性部分を含む嚢胞性腫瘤あり。脾動脈、門脈、総胆管への浸潤と腹腔内リンパ節転移が疑われ、精査加療目的にて当科紹介された。既往歴)糖尿病 身体所見)異常なし。S-Glu 331mg/dl, HbA1c 10.5%, CEA 9.1ng/ml, CA19-9 62.9 U/ml。嚢胞内貯留液の吸引細胞診でadenocarcinomaを認め、StageIVaの膵臓癌と診断した。嚢胞を含む範囲への放射線照射・合計40Gyと、GEM 600mg/m3週×3回点滴を行った。第20病日に心窩部痛と発熱あり、上部消化管内視鏡検査で十二指腸に多発潰瘍あり、腹部造影CTでは、嚢胞から周囲組織への炎症がみられ、放射線化学療法一時中断した。潰瘍および嚢胞内感染の改善後、化学療法2コース目予定であったが、強い心窩部痛出現したため、上部消化管内視鏡検査を施行した。十二指腸球部に大きな潰瘍と穿通疑われる小孔みられた。同日午後に新鮮血吐血あり、小孔部より持続性の出血がみられた。出血性潰瘍と考え内視鏡的止血を試みるも出血が激しく止血できず、一時心肺停止となり、救命措置を行った。腹部CTでは膵頭部の嚢胞性腫瘤内~十二指腸球部~胃内への造影剤流出と仮性動脈瘤を認めた。血管造影では、固有肝動脈から膵頭部の仮性動脈瘤への造影剤の流出あり、膵嚢胞内の仮性動脈瘤の破綻による出血、十二指腸潰瘍からの穿破と判断し、血管塞栓術施行した。止血後はVital安定し、全身状態の改善みられた。 膵癌治療経過中に仮性動脈瘤が形成され破綻することは極めてまれである。嚢胞感染や放射線治療の関与が推定され、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 膵癌, 仮性動脈瘤