セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専35:著明な高ビリルビン血症に対しビリルビン吸着療法が有効であった、胆嚢結石症を合併する遺伝性球状赤血球症の一例 |
演者 | 鶴岡 美穂(鹿児島大学病院消化器内科) |
共同演者 | 馬渡 誠一(鹿児島大学病院消化器内科), 桶谷 眞(鹿児島大学病院消化器内科), 川村 秀尚(鹿児島大学病院消化器外科2), 福枝 幹雄(鹿児島大学病院消化器外科2), 菰方 輝夫(鹿児島大学病院消化器外科2), 小田 耕平(鹿児島大学病院消化器内科), 最勝寺 晶子(鹿児島大学病院消化器内科), 橋口 正史(鹿児島大学病院消化器内科), 呉 建(鹿児島大学病院消化器内科), 熊谷 公太郎(鹿児島大学病院消化器内科), 玉井 努(鹿児島大学病院消化器内科), 森内 昭博(鹿児島大学病院消化器内科), 宇都 浩文(鹿児島大学病院消化器内科), 井戸 章雄(鹿児島大学病院消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大学病院消化器内科) |
抄録 | (症例)25歳男性。(現病歴)16歳時に遺伝性球状赤血球症と診断され、間接ビリルビン優位の総ビリルビンの上昇(T-Bil 6-10mg/dl)がみられていた。2010年4月5日に胆石発作による右季肋部痛あり、手術適応と判断され自宅待機となった。5月9日に再び腹痛、背部痛及び皮膚黄染が出現し、近医受診した。鎮痛剤で腹部症状は軽快したものの、高ビリルビン血症(T-Bil 45.3mg/dl、D-Bil 21.8mg/dl)を呈したため、5月10日に当院消化器外科2に入院した。画像検査では、胆嚢結石と脾腫がみられたが、総胆管結石や胆嚢炎を示唆する所見はなかった。経過中に腹部症状はなかったが、ビリルビン値は上昇を続け、最大T-Bil 77.5mg/dl、D-Bil 57.1mg/dlまで達したため当科へ転科となった。(入院時検査所見)AST 157IU/l、ALT 252IU/l、LDH 379IU/l、γ-GTP 21IU/l、ALP 278IU/l、CRP 0.04mg/dl、 PT 68%、Fe 213μg/μl、フェリチン7028ng/ml。(入院後経過)閉塞性黄疸、薬物性肝障害は否定的であり、ビリルビン代謝および排泄障害と診断し、ビリルビン吸着療法を計6回施行した。T-Bilは徐々に低下し、22.6mg/dlまで改善したため、6月1日に胆嚢及び脾臓摘出術を施行した。術中に施行した肝生検の病理組織では、ビリルビン沈着部位に一致して著明な鉄沈着を認め、ヘモジデローシスの所見であった。術後も一時的にT-Bilが上昇したが、ビリルビン吸着療法により低下傾向となり、T-Bil 9.1mg/dlまで改善したところで退院した。(考察)画像では確認されていないが、胆嚢内の結石が総胆管に流れ込み、一時的な閉塞性黄疸を引き起こしたことが推測された。遺伝性球状赤血球症によるビリルビン代謝障害に、総胆管の閉塞機転によるビリルビン排泄障害が加わったものと推察された。遺伝性球状赤血球症に胆嚢結石症を合併し、遷延する高度の高ビリルビン血症に対しビリルビン吸着療法を施行した症例は稀と思われ、若干の文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 高ビリルビン血症, 遺伝性球状赤血球症 |