セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専05:難治性食道病変を呈した腸型ベーチェット病疑診例の1例 |
演者 | 松村 圭一郎(福岡大学筑紫病院) |
共同演者 | 永田 豊(九州大学病態機能内科学), 高木 靖寛(福岡大学筑紫病院), 小野 陽一郎(福岡大学筑紫病院), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院), 北崎 真未(九州大学病態機能内科学), 松本 主之(九州大学病態機能内科学), 当間 宏樹(九州大学臨床腫瘍外科), 永井 英司(九州大学臨床腫瘍外科), 平橋 美奈子(九州大学病院形態機能病理学), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院病理部) |
抄録 | 今回我々は、内科的治療が奏効せず、外科的治療を要した腸管ベーチェット病に随伴する難治性食道潰瘍の一例を経験したので報告する。症例は30歳代、男性。元来、口腔内アフタを繰り返していた。36歳時に胸焼け、前胸部痛が出現、近医の上部消化管内視鏡検査にて切歯より36~40cmに多発する深掘れ潰瘍を認めた。消化管精査目的に施行した下部消化管内視鏡検査では、回盲弁に小型の深掘れ潰瘍と回腸末端に一部縦走化した潰瘍を認めた。上部、下部内視鏡による生検では非特異的な慢性炎症を認めるのみであった。2008年8月に当科受診。眼症状、皮膚症状、外陰部潰瘍は認めなかったが、再発性口腔内アフタ、定型的腸管病変、HLA-B51陽性であったことから、ベーチェット病疑診例と診断した。PSL 30mg/日と5-ASA製剤の内服で治療を開始、回盲部潰瘍は瘢痕化し食道潰瘍(約4cm大)も改善傾向となった。しかし、PSL 10mgまで漸減したところ前胸部痛が再発、上部消化管内視鏡検査で食道潰瘍の増悪を認めた。2009年10月からインフリキシマブによる治療に変更し、0、2週まで導入したが食道潰瘍はさらに増悪し約8cm大の深掘れ潰瘍となった。発熱、胸痛などの全身症状が強く消化管穿孔の危険が高いことから完全静脈栄養とし、PSL 60mg/日の強力静注療法を行ったが改善なく、さらにシクロスポリンの投与も効果なく2010年3月に外科的に食道切除術を行った。一般的にベーチェット病の消化管病変は回盲部に発生し難治性で外科的手術を余儀なくされる症例も少なくない。本症例は非定型的発生部位である食道に定型病変を有したまれな腸管型ベーチェット病疑診例であった。回盲部病変は内科的治療で改善したが、食道病変は難治性であった。非典型的な病変部位と経過をたどったため、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 難治性潰瘍, 食道病変 |