セッション情報 一般演題

タイトル 130:

エンテカビル耐性株出現にて肝炎増悪を認めたB型慢性肝炎の1例

演者 星野 訓一(琉球大学医学部第一内科)
共同演者 圓若 修一(琉球大学医学部第一内科), 新垣 伸吾(琉球大学医学部第一内科), 柴田 大介(琉球大学医学部第一内科), 山城 剛(琉球大学医学部第一内科), 前城 達次(琉球大学医学部第一内科), 藤田 次郎(琉球大学医学部第一内科), 金城 福則(琉球大学医学部光学医療診療部), 佐久川 廣(ハートライフ病院)
抄録 【症例】37歳、男性【既往歴】輸血歴なし【家族歴】父がHBVキャリア【現病歴】2004年7月HBV無症候性キャリアからの急性増悪にて前医入院しラミブジン100mgを1日(1錠)のみ投与されるもその後はIFN-βにて加療され肝炎鎮静を認めた。以降前医外来にて経過観察されていたが、HBe抗原陽性でHBV-DNA高値が持続していたが、transminaseは基準値内で推移していた。2007年5月にそれまで基準値内だったAST、ALT値が上昇したため2007年10月よりエンテカビル0.5mg/day が開始された。その後はHBV-DNAが減少し、AST、ALT値も低下していたが、2010年1月より再度HBV-DNAの上昇を認めエンテカビル耐性の出現も危惧されたため当院紹介受診となった。当科にてHBV RT領域の塩基配列をdirect sequence法にて検討したところラミブジン耐性であるrtL180M、rtM204Vの変異およびエンテカビル耐性であるrtS202Gの変異を認めた。肝生検は新犬山分類にてA2F2であった。再度肝炎が増悪し、現在ALT 200IU/L前後で推移している状況でエンテカビル単独投与を継続しているが、今後はアデホビルの併用を検討中である。【考察・結語】本症例は前医にてラミブジン100mgを一度だけ投与されたが、その後は投与されておらずエンテカビル開始時はほぼ核酸アナログ未治療例と考えられた。エンテカビルの核酸アナログ未治療例での耐性出現は5年間で1.2%と低い。本症例はエンテカビル開始後約2年の経過で耐性株の出現を認め貴重な症例と考えられ、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 エンテカビル, B型肝炎