セッション情報 一般演題

タイトル 173:

膵仮性嚢胞を契機に発見された自己免疫性膵炎(AIP)の1例

演者 中原 和之(熊本地域医療センター)
共同演者 清住  雄昭(熊本地域医療センター), 上田  城久朗(熊本地域医療センター), 田村 文雄(熊本地域医療センター), 陣内  克紀(熊本地域医療センター), 山之内  健伯(熊本地域医療センター), 堤  英治(熊本地域医療センター), 成田  礼(熊本地域医療センター), 明石 隆吉(熊本ヘルスケアセンター)
抄録 症例は46歳男性、元来アルコール多飲者。平成20年12月中旬頃より右季肋部痛が出現し、紹介医にて治療を受けていたが改善がみられなかった。腹部触診で腫瘤を触知し、腹部エコーで嚢胞を認めたため、精査目的に平成21年1月当科紹介。慢性膵炎および膵仮性嚢胞の診断にて、同年2月治療目的入院となる。2月4日に超音波内視鏡下膵仮性嚢胞ドレナージ術を施行。6Fr ENBD tubeを12日間留置した後に内瘻化した。加療にて嚢胞は消失し、術後経過も良好のため2月20日退院となった。その後外来にてメシル酸カモスタットによる内服加療を行っていたが、禁酒していたにもかかわらず膵の腫大は6カ月以上も改善がみられなかった。CT所見を見直したところ、膵腫大部辺縁に恒常的に被膜様構造を認めており、AIPの可能性が示唆された。IgG4を測定したところ458mg/dlと高値であり、またERCPにて、膵体尾部に膵腫大部に一致して主膵管狭細像を認めた。以上の所見よりAIPと診断し、平成23年2月よりステロイド(PSL 35mg)内服を開始した。8月のfollow CTでは膵の腫大は改善を認めており、引き続き経過観察予定のである。膵仮性嚢胞形成を契機に発見されたAIPの1例を経験した。本症例は飲酒歴もあり、仮性嚢胞形成は飲酒が原因であった可能性も否定できない。しかし、仮性嚢胞形成時のCT所見においてもすでに被膜様構造を認めており、その後の経過からもAIPによる仮性嚢胞形成の可能性が高いと考えられた。飲酒歴のある慢性膵炎症例においても、画像や経過によってはAIP合併の可能性を考慮すべきであると考えられた。
索引用語 AIP, 膵仮性嚢胞