セッション情報 ワークショップ3「消化器疾患に対する低侵襲手術(ビデオ)」

タイトル WS3-09:

下部直腸進行癌に対する側方郭清を伴う腹腔鏡下手術

演者 植木 隆(九州大学大学院 臨床・腫瘍外科)
共同演者 奈良 絵津子(九州大学大学院 臨床・腫瘍外科), 安蘓 鉄平(九州大学大学院 臨床・腫瘍外科), 山中 直樹(九州大学大学院 臨床・腫瘍外科), 真鍋 達也(九州大学大学院 臨床・腫瘍外科), 清水 周次(九州大学大学院 臨床・腫瘍外科), 田中 雅夫(九州大学大学院 臨床・腫瘍外科)
抄録 下部直腸癌に対する腹腔鏡手術は、狭い骨盤腔内での鉗子操作や視野確保が困難なことに加え、腫瘍により往々にして術野の展開が困難となり、腹腔鏡下大腸癌手術の中でも高難度とされる。一方、拡大視効果により、適切な剥離層の維持や神経血管の同定が可能で、自律神経の温存・出血量の減少が期待される。当科では、一般的に適応とされない下部直腸進行癌にも、2008年から側方郭清を伴う腹腔鏡下D3郭清を行ってきたので報告する。2010年8月まで当科で施行した腹腔鏡補助下大腸癌手術498例中直腸癌は93例(Ra33例・RaRb14例・Rb46例)で、そのうちRaRb5例とRb6例に側方郭清を伴うD3郭清を施行した。男性6例女性5例で、年齢は40歳から73歳で平均56歳であった。腹会陰式直腸切断は4例、残りの7例では(超)低位前方切除を施行し、ISRの症例はなかった。9例では術前に側方リンパ節の腫大はなく予防郭清を、Rt#273とLt#263Dにリンパ節腫大を認めた1例とRt#283とLt#263Dにリンパ節腫大を認めた1例には治療郭清を行った。予防郭清の場合#263Dの末梢側は郭清していないが、治療郭清では内腸骨動脈または中直腸動脈・下膀胱動脈を切離して骨盤神経内側から肛門挙筋前面まで完全郭清を行った。全例で骨盤神経は温存した。平均の手術時間578分、出血量は201g、開腹移行や尿管損傷はなかった。平均23個の側方リンパ節を摘出し、治療郭清を行った2例では病理学的に側方リンパ節転移が認められたが、予防郭清の9例では側方への転移は認められなかった。いずれの症例も病理診断で外膜浸潤が確認された。術後縫合不全を来たした治療郭清の1例で、1か月のカテーテル留置を伴う排尿障害を来たしたが、その他の症例で排尿障害はなかった。ビデオを提示しながら、側方郭清の手技について述べる。
索引用語 直腸癌, 腹腔鏡手術