セッション情報 | 特別企画2「これからを担う消化器専門医の育成:われわれの取り組みと課題-外科の立場から-」 |
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タイトル | SP2-03:学生実習からはじめる消化器外科専門医教育 |
演者 | 渡邊 雅之(熊本大学) |
共同演者 | 馬場 祥史(熊本大学), 岩槻 政晃(熊本大学), 田中 洋(熊本大学), 近本 亮(熊本大学), 林 尚子(熊本大学), 堀野 敬(熊本大学), 石河 隆敏(熊本大学), 高森 啓史(熊本大学), 別府 透(熊本大学), 馬場 秀夫(熊本大学) |
抄録 | 近年、医学部学生の外科離れが進み、外科医の減少が危惧されている。また初期研修先として大学病院ではなく一般病院を志向する研修医が増えており、研修先の病院ごとにカリキュラムが異なると同時に、必ずしも外科専門医の育成を見据えた研修医教育がなされていないのが現状である。このような現状を踏まえ、当科では外科専門医教育の一環として、学生実習から外科手術手技教育を開始している。今回、その現状について報告する。学生から専門医教育を開始する理由のひとつは、学生に外科手技の楽しさと難しさ、目標を達成する喜びを教えることにより、外科志望書をひとりでも増やすことであり、もうひとつは3年目以降の外科専修医教育にスムーズに移行できる基礎を学生時代に身につけてもらうことである。熊本大学での臨床実習は5年生で各科1週間のベッドサイド実習が組まれており、5年生の1月から6年生の5月までに学生の選択による3週間のクリニカルクラークシップが組まれている。ベッドサイド実習では、ドライラボによる外科基本手技実習、豚皮を用いた皮膚縫合実習、シミュレータを用いた内視鏡外科実習を各グループ毎に行っている。また担当症例の手術では専修医の指導のもと、皮膚縫合は学生が行っている。クラークシップでは豚皮による皮膚縫合実習を再度復習するとともに、腸管モデルを用いたドライラボ、豚の腸を用いたウエットラボによる腸管吻合実習を行っている。手術実習では指導医の十分な指導のもとで開腹や漿膜筋層縫合を実際に経験させている。また2009年からは希望者を対象に1泊2日のトレーニングラボを企画し、シミュレータを用いた内視鏡手術手技実習を行った後に、豚の胆嚢摘出と胃切除または腸切除を学生に経験してもらっている。学生実習で手術手技を指導することにより、短期間で飛躍的な手技の向上を見ることができる。また、学生の中で外科を希望する人数は明らかに増加しているが、これが今後の外科医増加につながるか否かは長期的な評価が必要と考えられる。 |
索引用語 | 専門医教育, 学生実習 |