セッション情報 一般演題

タイトル 50:

結石によるイレウスの2例

演者 保 清和(鹿児島県立大島病院外科)
共同演者 出先 亮介(鹿児島県立大島病院外科), 肥後 直倫(鹿児島県立大島病院外科), 金子 公一(鹿児島県立大島病院外科), 小川 信(鹿児島県立大島病院外科), 柳 正和(鹿児島県立大島病院外科), 實 操二(鹿児島県立大島病院外科), 小代 正隆(鹿児島県立大島病院外科), 中澤 潤一(鹿児島県立大島病院消化器内科), 軸屋 賢一(鹿児島県立大島病院消化器内科), 佐々木 文郷(鹿児島県立大島病院消化器内科), 夏越 祥次(鹿児島大学大学院腫瘍制御学消化器外科)
抄録 【はじめに】結石が小腸閉塞を来したイレウスを経験したので報告する。【症例1】 慢性腎不全で血液透析中の62歳男性. 20年前に腹部超音波検査で胆のう結石を指摘されていた. 平成22年5月, 腹部不快感・嘔気症状出現し当院を受診. 腹部単純レントゲン写真で総胆管内にガス像を認めた. 腹部CTで, 胆のう-十二指腸瘻の存在が疑われ,小腸内にCT陽性結石を認めた. 上部内視鏡検査でも十二指腸に瘻孔を認めた. 以上の画像検査から, 胆のう-十二指腸瘻形成により胆のう結石が小腸内へ落下した胆石イレウスと診断した. 嘔吐症状はあったが腸管拡張が軽度であり, 結石の大きさが約2cmで自然排石の可能性もあったため, 保存的加療の方針となった. 入院10日目に自然排石した. 【症例2】認知症のある91歳女性. . 嘔吐症状の改善がないため, 平成22年7月当院受診となった. 腹部単純レントゲン写真で多量の胃十二指腸ガスを認めた. 腹部単純CTでは, 胃十二指腸の拡張所見と十二指腸水平脚に異物の存在が疑われた. 入院翌日の腹部CTでは胃十二指腸の拡張所見の改善を認めず, 異物の位置も不変であった. 十二指腸異物を疑い上部内視鏡検査を施行. 十二指腸水平脚に嵌頓した胆石様結石を認め, 内視鏡的採石を試みたが嵌頓状態のため不成功となった. 十二指腸下降脚に比較的大きな憩室を認めており, 憩室内に胆汁などが鬱滞し結石を形成し, これが小腸側へ落下し腸閉塞を来したと判断した. 認知症のためイレウスチューブ挿入などの保存的加療への協力が期待できず, 高齢のため絶食による全身状態の悪化も危惧され, 結石の大きさが約3cmであったため, 自然排石を断念した. 入院3日目に開腹手術を行った. トライツ靱帯から3cm口側の空腸に結石様腫瘤を触知した. 空腸壁を一部切開し, 結石を摘出した. 【考察】小腸閉塞をきたす良性の疾患として胆石イレウスがあるが, 頻度は1%程度と比較的稀である. 開腹既往歴のない腸閉塞の場合, 同疾患も鑑別にあげ, CTや内視鏡検査などで小腸結石の診断がついた場合, 結石の大きさやイレウス状態を把握し, 保存的加療か手術加療かの治療方針を適切に決定することが肝要である.
索引用語 結石, イレウス