セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研35:

胸腺腫からの孤立性腹腔内リンパ節転移の一例

演者 幸山 敦子(国立病院機構九州医療センター肝臓病センター外科・臨床研究部)
共同演者 高見 裕子(国立病院機構九州医療センター肝臓病センター外科・臨床研究部), 龍 知記(国立病院機構九州医療センター肝臓病センター外科・臨床研究部), 和田 幸之(国立病院機構九州医療センター肝臓病センター外科・臨床研究部), 才津 秀樹(国立病院機構九州医療センター肝臓病センター外科・臨床研究部), 福嶋 伸良(同 消化器科), 安森 弘太郎(同 放射線科), 桃崎 征也(同 病理部)
抄録  腹腔内リンパ節腫大の生検より胸腺腫からの転移と診断され、二期的に摘出術を施行した一例を経験したので報告する。【症例】62才の女性。2004年11月、手足のしびれが出現し、当院紹介。精査の結果、症状の原因疾患は強皮症と診断された。同時に糖尿病、間質性肺炎、原発性胆汁性肝硬変及び前縦隔腫瘍、腹腔内リンパ節腫大も指摘された。間質性肺炎のステロイド治療の後に、前縦隔腫瘍に対して胸腔鏡併用小開胸下に腫瘍摘出術が施行され、胸腺腫と診断された(Thymoma, type 3, Masaoka’s classification stage II-2)。なお、腹腔内リンパ節腫大は2005年2月21×13mmあり、腹腔内悪性疾患検索されるも原発巣は不明で、また下大静脈と大動脈の間に存在しており、経皮的生検は困難であったため、経過観察の方針となった。なお、PET-CTは糖尿病を合併していることから施行していない。その後、腹腔内リンパ節腫大は緩徐ながら徐々に増大し、2010年5月には41×29mmとなった。そこで、開腹下生検を目的に当科を紹介された。外科入院時には他部位にリンパ節腫大は触知せず、血液生化学検査では可溶性IL-2レセプターが792U/mlと軽度上昇していた。なお、CTにて同部は被膜の一部が早期相で軽度濃染されるのみで、内部は造影に乏しいisoからlow densityな腫瘤として認められた。2010年5月24日、開腹下生検施行。病理組織学的検査ではリンパ節組織は2005年に摘出された前縦隔胸腺腫と極めて酷似しており、胸腺腫のリンパ節転移と診断された。そこで、2010年8月2日改めてリンパ節摘出術を施行した。現在明らかな他部位リンパ節転移は指摘されていない。【考察】胸腺腫は、腫瘍が完全に切除出来れば、比較的良好な予後が期待できると考えられており、今回我々は外科的切除を選択したが、胸腺腫からの腹腔内リンパ節転移を切除した例は非常に稀と考えられたので報告した。
索引用語 胸腺腫, 腹腔内リンパ節転移